

東京:金融調査会社帝国データバンクのレポートによると、人手不足がビジネスに与える影響は深刻化しており、倒産件数は過去最多を記録している。特に建設・物流企業が労働問題の影響を受けている。
帝国データバンクによると、従業員の退職や採用難、人件費の高騰などを理由とする「人手不足倒産」は今年1月から6月までに182件発生。このペースは、過去1年間(2023年)の記録である同時期の110件を大幅に上回る。
従業員10人未満の中小企業の人手不足による倒産件数は143件(前年同期84件)。
自動車の運転や建設工事などの時間外労働に4月から上限規制が適用された影響もあり、人手不足による倒産は建設業が53件、物流業が27件で、いずれも上半期としては過去最多となった。
就業者数は増加し人手不足は緩和の兆しを見せているものの、人手不足への懸念は依然として高い水準にある。
厚生労働省が今年5月に実施した労働力調査によると、就業者数は6,766万人となり、22カ月連続で前年同月を上回った。
しかし、転職などを希望する人は1,000万人を超え、過去最高を更新するなど、労働市場の流動化が加速している。従業員の少ない中小企業にとって、従業員が退職すればダメージは大きい。
人手不足を理由とする物流業界の倒産は前年同期比で2倍近くに増え、バリューチェーン全体への影響が懸念される。
時間外労働の上限規制が強化されてから3カ月が経過した。建設業界や物流業界では、すでに人手不足による倒産件数が大幅に増加している。人手を増やせず、作業効率を上げられない状況が長く続けば、企業への悪影響は避けられない。
特に、トラック運転手の時間外労働の上限規制が見直された物流業界では、人手不足による倒産が27件と、前年同期(15件)のほぼ倍増となった。