• 初開催の紅海国際映画祭の前半のヒット作のひとつは、サウジアラビアの若い女性映画製作者5人の作品を集めたアンソロジー映画「Quareer」だった
• サウジアラビアの女性の5つの個別の物語から成る作品で、保守的な社会における放棄、ニグレクト、コントロール、虐待、恥のテーマを探求している

ナダ・ハミード

ジェッダ：初開催の紅海映画祭が折り返し地点を迎える。サウジアラビアの才能ある女性5人の作品を紹介する映画が前半のヒット作のひとつになった。

「Quareer」はサウジアラビアの女性の5つの個別の物語から成るアンソロジーで、保守的な社会における放棄、ニグレクト、コントロール、虐待、恥のテーマを探求している

この作品は、ジェッダのエッファト女子大学のビジュアル・デジタル制作学部で共に学んだ5人の若い映画製作者の卒業プロジェクトである。監督兼製作のラギード・アル・ナーディ氏、監督兼脚本のノラ・アルモワルド氏、監督のルバ・ハファギ氏、監督兼脚本のファティマ・アルハツミ氏、監督のヌーア・アラメール氏が携わった。

12月8日の映画祭で世界初公開され、12月9日に2回目の上映が行われた。入場券は瞬く間に売れ、初めて完売になった作品と報じられた。映画祭の最終日である12月15日に3回目の上映が行われる予定だ。

男性は女性に優しくすべきだという預言者ムハンマドの教えに着想を得た「Quareer」は、年齢も生きた時代もさまざまなサウジアラビアの女性の物語を伝える劇映画だ。それぞれがすべてをかけて世界に自分の場所を切り開くときに直面する問題を描いている。

アラブニュースの取材に応えたハファギ氏は、創造性豊かで労をいとわない友人たちのチームと一緒に作品が作れて光栄だと語った。

「私たちは大学1年目に知り合い、2015年からこの映画を作ってきました」とハファギ氏は言った。「私たちは完成作品もそれまでの過程も誇りに思っています」

「映画製作者たちと紅海映画祭から受けた支援は膨大で信じがたいものでした。映画祭によると、『Quareer』は世界初公開日の入場券が完売した最初の作品になったからです。満席の映画館と素晴らしい観客。これ以上何が望めるでしょうか」

アルモワルド氏によると、この映画は論争の的になっているテーマを多く掘り下げているという。結果として監督がアイデアを提示することが難しくなり、当初は却下された。しかし、自分たちのビジョンの実現を妨げるものは何もなかったとアルモワルド氏は言った。全員が、偉大な監督は最初から大きなことを考えるものだと確信していたからだ。

「映画製作と映画の歴史の中で世界に名をはせる不滅の名監督の多くは、学校の卒業制作でキャリアをスタートさせているのです。ドイツにも、フランスにも、米国にもそのような監督がいます」

「インディペンデント映画には特別な思いがあります。（中略）かかわる人たちはぎりぎり最小のコストでひとつの声、メッセージ、色彩を届けるために全力を尽くします。『Quareer』はインディペンデント映画です。自分たちと、家族や友人など私たちの才能を信じる人々で資金を調達する必要があったからです。チーム全員が、物語が現実になるまで語り続けるのをやめなかったことをとても誇りに思います」

2018年、サウジアラビアで長い休館期間を経て映画館が再開し始め、今年、紅海映画祭が立ち上げられた時点では、サウジアラビアの若い才能による作品を支援し、共有するための国内イベントや地域のプラットフォームなどは存在しなかった。

「学生映画製作者の大半は、クリック数と観客を増やすため、卒業作品をオンラインで公開することを選択しました」とアルモワルド氏は言った。「でも、私たちのチームはこの手段を取りたくありませんでした。本当に幅広い層の観客に見てもらいたかったし、私たちの映画についての意見を直接聞きたかったからです」

映画を撮影した後、監督たちは複雑な編集とポストプロダクションの作業を行う過程で支援を受けた。

「ポストプロダクション段階の資金調達を助けてくれたのは紅海開発ファンドです」とアルモワルド氏は言った。「その支援のおかげで映画を最高の形に仕上げる機会が与えられました」

アル・ナーディ氏は、仲間の監督たちと共に初のサウジの映画祭に参加できて誇りに思う、とアラブニュースに語った。

「実は、国内に映画館があればいいなと夢みていました。そして今、映画館どころか、紅海沿岸のここジェッダで立派な映画祭が開催されました。国内の中心地でこのような国際映画祭が開かれたことを私たちは誇りに思います」

「私たちにとってこれは最初のステップです。将来はもっとたくさんの映画を作って私たちの国の存在を示したいです」