
カジュアル衣料品チェーンのユニクロのオーナーであるファーストリテイリングは、通期(9-8月)の利益が44%減少すると予想している。コロナウイルスの大流行が、中国での売上高に打撃を与え、同社の米国と欧州での市場を制覇するという野望を頓挫させたためだ。
今回のパンデミックにより、中国でのユニクロのサプライチェーンは一時期的に混乱に陥った。近年最大の成長市場である同国おいて、ユニクロは750店舗の半分以上を閉鎖せざるをえなくなった。
「戦後最大の人類の危機」だと柳井正CEOは木曜日の記者会見で語った。
ファーストリテイリングは近年、アジアでの成長への依存を強めていた。とくに中国では、手頃な価格のベーシックアイテムに、時々流行のアイテムをミックスするユニクロの手法は、急成長する中間層の間で大ヒットした。
同社によると、中国ではほとんどの店舗が再開し、ビジネスは回復し始めている。
しかし、パンデミックがより多くの市場に拡大していくにつれ、事業への影響を正確に予測することは難しくなっているとし、さらなる見直しが必要になるかもしれないと警告している。
ユニクロは今週、日本政府が非常事態宣言を出したことを受けて、自国市場の約170店舗を閉鎖した。また同社は、スウェーデンのH&Mのような大手ライバルに追いつこうとしている米国と欧州でも、一時的に店舗を閉鎖している。
同社は8月末までの通期の営業利益を、1,450億円(13億3,000万ドル)と予想した。前回予想の2,450億円から減少し、前年同期比44%減となった。
2月末までの6ヶ月間の営業利益は、前年同期比21%減の1,367億円となった。
しかし柳井氏は、同社には営業を継続するための十分な資金があり、店舗数を増やす計画を放棄してはいないと言う。すでにアジア最大のファッション小売企業である同社は、ZARAやH&Mなどを傘下に持つスペインの大手インディテックスを抜き、世界第1位のファッション小売企業になることを目指していると述べている。
柳井氏によれば、こうした緊急事態では、ランウェイのトレンドではなく、シンプルで高品質な服を重視しているユニクロが有利であると言う。
「コロナウイルスの流行で、人々は実生活に根ざした服を買うと思います」と彼は語った。「家族と過ごす時間が増えるからです」
しかし今期については、店舗の閉鎖が続き、北米、欧州市場ともに赤字を予想している。
また同社は、通期の配当予想を、従来の500円から480円に引き下げている。(1ドル=108.7500円)
ロイター通信