
東京:需要が鈍化しているにもかかわらず、中東情勢の緊迫化によって原油価格が1バレルあたり100ドルを超えるのではないかという懸念が、石油に貪欲なアジアで高まっている、と日経アジアは報じている。
イスラエルがイランの石油インフラを攻撃するかもしれないという懸念や、アジアの石油輸入の70%が通過するホルムズ海峡が閉鎖される可能性の憶測さえある。
原油需要は、イランがイスラエルをミサイル攻撃する以前には伸び悩んでいたが、攻撃後、ブレント原油先物は8%上昇し、10月7日には81.16ドルのピークをつけた。
日経新聞は、マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘氏のコメントを引用し、ブレント原油は90ドルまで上昇する可能性があり、深刻な供給障害が発生すれば100ドルを超える可能性もあると伝えた。
国際エネルギー機関のデータによれば、イランは世界の生産量の約3%を占めている。イスラエルがイランの施設を攻撃した場合、原油供給は制約を受け、近隣のクウェートとイラクも影響を受ける可能性がある。
サウジアラビアとアラブ首長国連邦が原油輸送に使用しているホルムズ海峡が、イランによって意図的に、あるいは偶発的に封鎖されれば、その影響はより大きくなるだろう。
今のところ、中国経済が低迷しているため、原油価格は比較的低い。中国は世界最大の原油輸入国である。日本経済新聞社と日経QUICKニュースのエコノミスト調査によると、中国の経済成長率は2023年の5.2%から2024年には4.8%、2025年には4.5%に減速すると予測されている。
大手金融機関は、原油価格は現在の水準にとどまるか下落すると予想している。ゴールドマン・サックスは、ブレント価格が70~85ドルのレンジで取引され、今年最後の3ヶ月の平均価格は77ドル、2025年は76ドルになると予想している。
中東危機に加え、原油価格に影響を与えうる要因としては、現在進行中のロシア・ウクライナ戦争や米国大統領選挙の結果などがある。ウクライナ戦争の中でロシアの製油所が攻撃され、世界的な供給が制約されている。多くの国がロシアからの輸入を止めたが、中国とインドは依然としてロシアの石油を輸入している。
日本では、液化天然ガスや石炭、プラスチックの価格も上昇するため、原油価格の上昇は企業や消費者のコスト増につながると、ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは指摘する。
日銀は金融政策を徐々に転換し始めており、景気が改善し、さらなる金利引き上げが正当化される可能性のあるデータを調査している。同時に、原油価格の高騰が企業収益を悪化させ、雇用者の賃上げを困難にするならば、中央銀行は警戒するだろう、と上野氏は示唆した。