
Frank Kane
ドバイ:4月20日(月)、米国トレーダーらは世界中で余剰石油が行き場を失っている現実に直面し、米国原油が壊滅状態に陥った。
米国原油のベンチマーク、ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)は終日に 渡って急落を続け、歴史的低価格へと撃沈した。$18強で始まり、一時的に象徴的なバレル1セントで取引されていたが、それも全く意味をなさなかった。
ニューヨーク市場の取引終了時、WTIは史上初のマイナス領域、1バレルマイナス$37.63へ落ち込み、トレーダー達は他者に金を払って引き渡さざるをえなくなった。
「5月の原油の売買契約は泣き言を言うだけでは済まず、プライマル・スクリームとなるだろう」とIHS マークイットの石油アナリスト、Daniel Yerginは言う。
COVID-19 のパンデミックによってあらゆるエネルギー製品への需要が急落しており、通常の1日の必要量のほぼ30%が削減されている。先週行われたOPECプラス連合におけるサウジアラビアとロシアの間の歴史的取引では世界の供給量の10%未満が削減されただけだ。
中東のベンチマーク、ブレント原油も過剰供給懸念により下落した。ただしその下落率は米国原油ほどではなく、主として技術上かつロジスティック上の理由からであり、約7セント安の1バレル約$26で取引された。
ドバイのトレーダー達がアラブニュースに語ったところによると、5月の石油輸送契約失効日に関連する要因によってWTI価格はガンガン落ち込んでいったという。それらの契約は4月21日(火)に失効するが、もしも需要が上向けば、WTIは6月の新たな輸送契約によって持ち直す可能性はある。
アメリカ産業にとってさらに憂慮すべき兆候は、オクラホマ州クッシングにある巨大貯蔵施設に、もうこれ以上の石油を備蓄する余裕がないということだ。ここには大半の米国原油が貯蔵されており、ここから全国へ供給されている。「クッシングの貯蔵タンクはすべて満タンだ」とドバイのトレーダーは言う。
RBC キャピタルマーケットの世界エネルギー戦略部門のMichael Tran部長はこう語る:「石油精製企業たちは未だかつてないペースで原油を拒否しており、米国の備蓄量がほぼ限界まで膨れ上がっている今、我々がお手上げ状態になるかCOVID危機が収束するか、どちらが先であろうと、市場原理は今以上に痛手を負うことになるだろう。どうやら前者が先になりそうだが。」
米国原油価格の大幅下落は、ドナルド・トランプ大統領がOPECプラスの供給取引の仲介を行ったことを受けたもので、トランプ大統領はそれによって米国の石油産業における何十万もの従業員を救うことになると言っている。
それ以来米シェール業界の採掘数、つまり操業している油ガス田の数は、生産企業が生産の削減を行ったか或いは倒産したかの理由で、大幅に低減している。