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投獄された3人のジャーナリスト、釈放されるもトルコの厳しいメディア環境は変わらず

裁判所の前で垂れ幕を持ち、国家安全保障に関わる秘密を曝露した状で告発され、裁判にかけられたジャーナリストに対する支持を示すデモ隊。イスタンブール、水曜日(AFP)
裁判所の前で垂れ幕を持ち、国家安全保障に関わる秘密を曝露した状で告発され、裁判にかけられたジャーナリストに対する支持を示すデモ隊。イスタンブール、水曜日(AFP)
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11 Sep 2020 06:09:22 GMT9
11 Sep 2020 06:09:22 GMT9

=アラブニュース

  • 国境なき記者団、トルコを世界で有数のジャーナリストを監獄送りにする国に位置付け

アンカラ:水曜日、国家安全保障上の秘密を開示したことで告訴され、約6か月刑務所に収監された3人のトルコ人ジャーナリストに対して、裁判所から釈放命令が出された。

政府に批判的なニュースサイトOda TVの編集長、バリス・ペリバン、記者フリャ・キリンク、反体制派のイェニカグ新聞コラムニスト、ムラト・アギレルの3人は、2月にリビアでトルコの諜報担当官が死亡したことを報道したことで投獄された。死亡したエージェントの名前は既にトルコ議会の議員による演説の中で公表されていたにもかかわらず。

彼らは旅行制限付きで釈放され、判決に対する控訴は保留となった。

拘留中に肉体的暴力を受けたペリバンは、証言の中で、裁判は彼のジャーナリストとしての活動を罰することが目的であったと述べた。

「これは疑うこともない事実である。私は中断させられたところからまた書き始め、将来のために書き続ける」と彼は述べている。

しかし、今週、20人のジャーナリストが裁判にかけられ、政治的干渉から司法の独立が損なわれていく現実の前に、言論の自由がますます制限と検閲を受け、国のメディアセクターすべてがバラ色の状況にあるわけでは決してない。

左派の親クルド派勢力のオズグル・ガンデム新聞でのジャーナリズム活動のためにイスタンブールで同じ日にテロ容疑で起訴された他の4人の被告は12月24日まで裁判が延期され、一方、社会主義のエトキン通信社(ETHA)に所属する他の2人のジャーナリストの裁判は、公聴会に出席しなかったため12月22日まで延期された。

地元のジャーナリストであるオクテ・カンデミールは月曜日、トルコの刑法第130条に基づき、東部のヴァン州で、国営のTRTチャンネルが放映する人気のオスマン時代のテレビシリーズに関するソーシャルメディアでの批判的な発言について「死者の記憶を中傷した」として、一時的に拘留されたが、水曜日には執行猶予で釈放されている。

国境なき記者団は、毎年発行する『世界報道自由度ランキング』において、トルコを179か国中の154位にランクし、同国を世界で有数のジャーナリストを監獄送りにする国として位置付けている。

「AKP(公正発展党)政権は、長い間メディアの有力者を服従させることに意を尽くし、報道の自由を政治的圧力から守ろうとするジャーナリストを脅迫してきた」とサバンチ大学の政治学の助教授であるバーク・エッセンはアラブニュースに語った。

「トルコ政府が、まだ国内に残る少数の独立系のジャーナリストをターゲットとして抑圧する理由がそこにあり、特に彼らが政府のプロパガンダに挑戦する物議を醸している問題を取り上げるときにその傾向は強くなる」と彼は付け加えて述べている。

エッセンによると、このような時、ジャーナリストは調査され、数か月間刑務所に監禁され、自らの決意を破り、同僚に同じ轍を踏まぬようメッセージを送るよう迫られる。リビアやシリアでのトルコの軍事行動、およびトルコでの汚職事件に関する独立した報道は、一般的にジャーナリストが取り上げることが禁止されている。

9月8日、アンカラ裁判所は、スパイ活動の容疑で6月に投獄されたOda TVアンカラニュース編集長ムイッサー・ユルディスの拘留に対する控訴を棄却した。彼女は、リビアに対するアンカラの軍事関与についての記事を2つ書き、そこで国家秘密を曝露したとして非難されている。

「当然のことながら、独立系ジャーナリストが自由に報道できる余地は、この数年間で政権がより権威主義的になったため、さらに縮小している。結果として、国内には独立系メディアの活動余地はほとんど残っておらず、まだ残ってジャーナリズム活動をしている独立系メディアのほとんどは外資系メディアグループに属している」とエッセンは述べている。

しかしながら、こうした政府の抑圧も、トルコ国内での調査報道を完全に抑え込むことに成功しているわけでは無いと彼は指摘している。

「東欧やバルカン半島の共産主義政権とは対照的に、トルコのメディアには、数十年前にまで遡ることが出来る、圧制に対抗して、調査報道、批判的ジャーナリズムを継続した比較的強い伝統が残っている。この伝統を引き継ぐ記者たちは、オンライン空間、国際メディア、そして国内に残された数少ない独立系新聞に活動継続の余地を見つけている」とエッセンは述べる。

同じ裁判で、別の反体制派ジャーナリストでありOda TV のニュースディレクターであるバリス・テルコグルは、諜報活動に関する情報を開示した件で無罪となり、彼に対する司法的規制措置が解除されている。

テルコグルの弁護士であるカジム・イギット・アカリンは、彼が直面した不当な監禁に対する「苦い勝利」であると述べた。

「当初から、ジャーナリストは何も国家秘密を明かしてはいなかった。国会議員でさえ、記者会見で殺害されたエージェントの詳細な説明をしている。Oda TV は13日後に葬式だけを取り上げた。なぜ彼がすでに明らかな事実に関して、刑務所に留置され続けたのか、誰も説明できなかった」と彼はアラブニュースに語っている。

アカリンの見通しでは、当局はOda TVを沈黙させたかったのでジャーナリストを逮捕したのだろうとのことだ。

「テルコグルとペリバンが過去に書いたことはすべて司法を混乱させていた。彼らは自らの批判的ジャーナリズムにつき、司法当局の反射作用を引き起こした。彼らは勇敢で、ジャーナリズム以外の何にもとらわれていなかった。それがすべてを説明していると私は思う」と彼は述べている。

トルコのスレイマン・ソイル内務大臣は、木曜日、テルコグルにつき、激しい報道声明を出している。「私は付和雷同するような人間では無い。私はこの国の人間である。あなたが誰であり、誰と一緒に雇われており、誰の僕として仕えているのかは明らかだ」と批判した。

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