
フランク・ケイン
ドバイ:世界的な原油在庫に一時的な減少の兆しが見られるなか、火曜日の石油市場は安堵のため息をついた。
中東のベンチマークであるブレント原油は、先月中旬以来初めて1バレル30ドルを超えて取引された。前日比で3.77ドル(13.9パーセント)上昇し、1バレル30.97ドルで取引を終えた。
先月マイナス領域に陥った米国指標のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)も、4.17ドル(20.5%)上昇して1バレル24.56ドルに落ち着いた。
西側市場は先週金曜日に実施となったOPECプラスの大幅減産の影響を週末を費やして評価し、目にしたものを気に入った。世界最大の投資銀行の2行が、石油市場は底を打ったと告げ、穏やかな回復を予測した。
ゴールドマン・サックスは、生産が急速に減少し始めており、来年の予想価格をWTIでは1バレルあたり51.38ドル、ブレントでは55.63ドルに引き上げたと述べた。同行はまた、「中国経済の再始動と先進国経済における輸送需要の改善に牽引され、需要は低水準から回復し始めている」と述べた。
モルガン・スタンレーは、ブレントは今後も着実に上昇を続け、年末までには35ドルに達するだろうと予測している。同行は急反発は予想していないが、「需給と供給の不釣り合いが最大だった状態は恐らく峠を越したと言えるだろう」と述べた。
モルガン・スタンレーは、世界市場における供給過剰はすでにピークに達した可能性が高く、貯蔵庫不足も緩和していると述べた。「在庫は増えましたが、恐れられていたほど大幅なものではありませんでした。3月にソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)措置が強化されましたから… 在庫の増加が認められたものの、恐れられたほど大幅なものではありませんでした」
プライス・フューチャーズ・グループのシニアアナリストであるフィル・フリン氏は、次のように述べている。「需要崩壊はひどいものだったが、社会は再開し始めており、需要も改善するだろうと市場が気づき始めたのです。ただ、減産はまだ始まったばかりです」
アナリストらがロイター通信に語ったところによると、サウジアラビアの5月の原油輸出は、OPECプラスの合意に基づき、この10年近くで最低の1日あたり約600万バレルまで低下すると予想されている。
スイスの銀行UBSは、多くの国で新型コロナウイルス規制が緩和されていることにより、需給と供給のバランスが戻り、年末までには供給が不足することになるだろうと述べた。
原油価格をつり上げて米国の消費者に損害を与えているとして過去にOPECを批判したこともあるドナルド・トランプ米大統領は、「需要が再び高まり始め、原油価格は見事に上昇している!」とツイートした。
だが、石油取引の専門家たちはトランプ大統領の楽観論を共有しなかった。ドバイの国際トレーダー「Starfuels」でブローカーを務めるマット・スタンレー氏は、次のように述べている。「希望が高まり、需要も高まりを見せてきたことから価格が一時上昇したものの、需要が最終的には失望に終わり、それが再び価格の下落に繋がるのではないかと恐れています」