
フランク・ケイン
サウジアラムコは、6月の原油供給価格を過去2カ月間の低水準から引き上げ、石油需要の回復に新たな自信を示した。
同社は公式販売価格(OSP)を発表し、5月中にほぼ全てのグレードの原油で上昇を示した。ほとんど取引されていない「スーパーライト」のみが、米国市場向けの1バレル当たり1ドルから、欧州および地中海地域向けの1バレル当たり6ドルまで上昇する一連の価格上昇の中で、さらに引き下げられた。
産油国の間で「激戦地」と呼ばれる重要な極東市場では、5月にさまざまなグレードのアラムコ原油の価格が1バレル当たり0.9ドルから1.7ドルに引き上げられた。
OSPは、アラムコが販売してもかまわない実際の価格であり、トレーダーは世界最大の石油会社のセンチメントを示す指標として注目している。
4月の原油価格戦争は、経済活動に打撃を与えた世界各地での都市封鎖の影響で世界の原油需要が落ち込んだ3月初めにアラムコが顧客に大幅な値下げを提供したことから始まった。
国際的な指標であるブレント原油価格は、価格発表後に30ドル以上に反騰し、ペルシャ湾の午後の取引で6%上昇して31.64ドルとなった。
アラムコ原油の大半を消費するアジアについては、OSPは中東の原油指標であるDMEのオマーンとドバイに対して算出される。DMEのオマーンは、アラムコの価格発表後、1バレル当たり約32ドルまで反騰した。
ドバイ・マーカンタイル取引所のエネルギー製品部門の責任者、ポール・ヤング氏はアラブニュースに「これらのOSPは6月積み原油の価格であり、OPECプラスの記録的な減産と需要の回復により、第3四半期にこの石油が石油製品として市場に出回るまでには、ファンダメンタルズはよりバランスの取れたものになるでしょう」と語った。
市場アナリストらは、世界のエネルギー市場の激動の月の後、最悪の時期は終わったと宣言する人が出てきた1週間後に、OSPがいっそう好材料になったとみている。石油アナリストのArjun Murti氏は「需要が早期回復の兆しを見せていることから、サウジはさらに回復を後押ししている」とツイートした。
3月初めの暴落の後、数週間前に歴史的なOPECプラスの減産でサウジアラビアのパートナーとなったロシアに対する譲歩として、欧州市場に提示された比較的高い価格で購入した者もいた。