
ヌール・ヌガリ
リヤド:増税はサウジ経済にどのような影響を及ぼすか。
付加価値税の導入を巡る湾岸協力会議加盟諸国との議論のなかでIMF(国際通貨基金)は、財政支出を維持するには、当初制定された標準税率5%よりも高い付加価値税率が不可欠であると明言してきた。
今回の発表でサウジアラビアの付加価値税標準税率は、税率20%台が一般的な欧州諸国と比べれば依然かなり低いとはいえ、より世界水準に近づいたことになる。サウジアラビアが、とりわけインフラ支出関連で『ビジョン2030』の一環としての目標に向けて取り組むなか、付加価値税の引き上げは、特に原油価格が下落する状況において、継続的な政府投資を後押しすることになる。詰まるところ、経済における持続可能な政府支出が雇用を生み出し、それが経済活動や成長への刺激につながるのだ。
これらの措置は、短期、中期、長期ではどのように受け取られるか。
現在は例外的な時期ではあるものの、2018年初めに付加価値税がサウジアラビアに初めて導入された際には、ビジネスへの混乱も消費者への影響も最小限で受け入れられた。従って、消費者支出が依然として安定しており、税収が速やかに経済に再投資されていることを考えれば、付加価値税の引き上げは中長期的にも肯定的な措置となり得る。政府の財政状況へのバランスの取れた取り組みが確保されれば、景況感を支えることになり、中長期的にはサウジの経済成長や投資の伸びにもつながる。
付加価値税は15%になるのか?
付加価値税の導入時から多くの専門家たちは、湾岸協力会議加盟諸国は最終的に世界諸国の付加価値税や消費税に釣り合うような付加価値税まで引き上げ、継続的な国家支出を支えるべく政府歳入を増やすことになるだろうと見てきた。サウジアラビアについては、状況にもよるが少なくとも15%の税率になる可能性があり、これは湾岸協力会議諸国に対してIMFが呼び掛けている付加価値税増税にも合致する。
企業の反応は?
付加価値税引き上げの影響を受ける企業は、増税分を顧客に負担させるか、ある程度は自分たちのコストとして吸収するかの難しい決断に迫られることになる。多くの企業は、長期契約や固定価格、法の上限、利益幅確保の必要性などに縛られており、顧客に増税分を課すしか選択の余地がない。