
東京:経済学者のポール・シアード氏は、現在、政府債務の対GDP比が約240%と、持続不可能と広く考えられている苦境にある日本経済に、いくらかの希望をもたらす緩和要因があると述べた。
日本の財務省が主催したセミナーでシアード氏は、日本の名目GDPは過去31年間でわずか23%しか成長していないことを強調。
また、日本は過去30年間、特にデジタル革命と情報革命による世界の変化に対応して、経済、政治、社会のパラダイムを適切に調整してこなかったと指摘した。同氏は、終身雇用制度や伝統的な企業構造などの慣行が、イノベーションと成長を妨げていると指摘した。
シアード氏は、アメリカの時価総額上位5社(マイクロソフト、エヌビディア、アップル、アルファベット、アマゾン)と日本の上位5社(トヨタ、ソニー、三菱UFJフィナンシャル・グループ、日立製作所、三井住友フィナンシャルグループ)を比較している。そして、この比較は日本のイノベーションの欠如と進歩の難しさを明らかにするものだと結論付けている。
高齢化と出生率の低下が日本の経済的未来に悪い見通しをもたらす、とも指摘した。
しかしシアード氏の評価にはポジティブな要素もある。同氏は日本のデフレ時代の終焉を歓迎し、名目GDPの増加を指摘した。この改善により、日本銀行は量的緩和策を終了し、金利を引き上げることができた。このような日本経済の発展は、日本経済の将来に希望の光を与えるものである。
日本経済のパフォーマンスを維持するための重要な要因は、強力な労働力の維持である。シアード氏によれば、外国人労働者の数は昨年12.4%増加し、この傾向は当分の間続く傾向。このような外国人労働者の流入は、日本の人口動態の厳しい状況に対する重要なカウンターバランスとして機能する可能性があり、労働力が日本経済の将来を左右する可能性を浮き彫りにしている。
シアード氏はまた、債務残高対GDP比240%という数字が誤解を招きかねないことを指摘し、反論を展開している。彼は、日本の純債務対GDP比は実際には160%に近いと主張し、その方がより正確な経済指標だと考え、「政府は負債を返済する必要はない。なぜなら、負債は購買力を将来に移転するための金融商品だからだ」と述べた。さらに彼は、日本がGDPの3~4%という大幅な経常黒字を維持していることも指摘している。