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衛星写真:イランの爆発、ミサイル実験の疑いのある現場付近で

テヘラン近郊の空に火の玉が上がった金曜の事件で、一体何が爆発したのかも、その原因も不明のままだ。(AFP通信)
テヘラン近郊の空に火の玉が上がった金曜の事件で、一体何が爆発したのかも、その原因も不明のままだ。(AFP通信)
欧州委員会の衛星「センチネル2号」が撮影した2020年6月21日の写真は、イランの首都を激震させた6月26日の爆発前の現場を映している。(AP通信)
欧州委員会の衛星「センチネル2号」が撮影した2020年6月21日の写真は、イランの首都を激震させた6月26日の爆発前の現場を映している。(AP通信)
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28 Jun 2020 12:06:25 GMT9
28 Jun 2020 12:06:25 GMT9
  • 政府の対応により、ある地域がデリケートな問題をはらんでいることが明確になった。そこはイランが核兵器の実験を行ったと、国際検査官がみている場所であった。
  • イランの原子プログラムに対する欧米の懸念が制裁につながった。

【ドバイ】イランの首都を震撼させた爆発は、東側の山間部の地域で起こった。土曜日に公開された衛星写真によれば、そこは地下トンネル網とミサイル製造現場が隠されていると、アナリストが考えている場所であった。金曜日の早朝に、テヘラン近郊の空に巨大な火の球を放った爆発が一体何だったのかは、その原因と同様に不明のままである。

しかし、その後のイラン政府の異常な反応により、この地域がデリケートな問題をはらんでいることが明確になった。ここは、イスラム共和国が20年前に核兵器開発へとつながる高火力の爆発実験を行ったと、国際検査官がみなしている場所の付近である。

金曜早朝のアルボルツ山脈で、爆風は家・窓を揺らし、地平線を照らした。州立テレビはその後、爆発の現場の様子の一部を放映した。記者の一人が、黒ずんだ大きなガスボンベと思われるものの前に立っていたが、カメラはしっかりと固定されており、それ以外現場周辺の映像は何も映らなかった。国防省のダブード・アブディ報道官は、爆発の原因はガス漏れだと推定し、死者は出なかったと述べた。アブディ氏は現場を「公共区域」と説明し、なぜ民間の消防士ではなく軍の役人が担当するのかという疑問を投げかけた。国営テレビの報道には、それに対する答えは無かった。

衛星写真には、テヘランのダウンタウンから東に約20キロ離れた場所に、数百メートルの焦げ付いた草原が映っていた。その地域で事件の数週間前に撮影された画像では見られなかったものだ。焦げ跡の近くにある建物は、国営テレビの映像に映っていた施設に似ていた。

燃料の貯蔵区域は、アナリストが「イランのコジールミサイル施設」と称する建物の近くに位置している。爆発は、固体ロケットを製造するシャヒド・バケリ工業グループの施設を襲ったようだと、ファビアン・ヒンツ氏は言う。ヒンツ氏は、カリフォルニア州モントレーにあるミドルベリー国際研究所の、ジェームズ・マーティン不拡散研究センターの研究員である。

ワシントンに拠点を置く戦略国際問題研究所は、コジールを「多数のトンネルがあり、武器の組み立てに使用されたものもあると疑われる地域」とみなしている。衛星写真から見える大きな工業用の建物は、ミサイルの組み立てがそこで行われていることを示唆している。

アメリカ国防情報局によると、イランは中東最大の地下施設を全土にわたって保持しているという。

その地下施設は、「作戦部隊やミサイル開発・生産プログラムを含む、イランの弾道ミサイル運用能力に関するあらゆる面を支えている」とアメリカ国防情報局は2019年に発表している。

国際原子力機関(IAEA)は以前、「イランが核兵器に使用される可能性のある爆発物の実験を行った疑いがある」と述べていたが、イラン当局もまた、その場所が軍事基地のあるパルチンにあると明らかにした。イランは長年にわたり核兵器の開発を否定してきた。しかしIAEAは以前、イランが「核開発プログラムの軍事的側面につながりうる支援活動を行った」と発表した。活動は2003年後半にはほぼ停止している。

イランの原子力プログラムに対する欧米の懸念は、制裁につながり、最終的には2015年に世界の大国との間で核合意に至った。ドナルド・トランプ大統領率いる米国は、2018年5月に一方的に協定から脱退したが、その結果イラン・米国間の攻撃がエスカレートし、イランは協定で決まった(濃縮ウランの)生産制限を放棄することになった。

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