ニューヨーク：日曜日の市場再開を前に、中東での広範な戦争の可能性の高まりと、国内混乱の深刻化を招く恐れのあるドナルド・トランプ米大統領に対する全米規模の抗議運動という 2 つのリスクが投資家を不安に陥れている。

イスラエルは金曜日と土曜日にイラン全土を集中攻撃し、核施設やミサイル工場などを攻撃、多数の軍事指揮官を殺害したと発表。これは、テヘランの核兵器開発を阻止するための長期作戦の一環である可能性もある。

イランは金曜日の夜、イスラエルに対して報復空爆を行い、同国の 2 大都市であるエルサレムとテルアビブで爆発音が聞こえた。

土曜日にベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエルの攻撃はさらに激化すると述べ、テヘランは、爆撃を阻止する唯一の手段としてワシントンが提示していた核交渉を打ち切った。

また、土曜日にイスラエルは、イランの石油・ガス産業を初めて攻撃したようであり、イラン国営メディアはガス田で火災が発生したと報じた。

金曜日の空爆により、株式などのリスク資産は下落し、原油価格は上昇、金やドルなどの安全資産への逃避の動きが見られた。

一方、トランプ大統領の政策に反対する「No Kings」連合が主催した抗議行動も、リスク回避の要因となった。土曜日に抗議行動が始まる数時間前、警察官を装った銃撃者がミネソタ州の 2 人の政治家とその配偶者に発砲し、民主党州議会議員メリッサ・ホートマン氏とその夫を殺害した。

主要3つの米株式指数は金曜日にすべて下落し、S&P 500は1.14％下落した。原油と金価格は急騰し、ドルは上昇した。

BCAリサーチの首席地政学アナリスト、マット・ガーテン氏は「イスラエルとイランはもはや『影の殴り合い』ではない」と述べた。「これは広範で継続的な攻撃だ」

「いずれ、一方の側の行動が原油の供給を市場から引き抜くことになり、投資家のリスク回避姿勢が急激に高まる可能性がある」と彼は付け加えた。

センチメントとリスク許容度の低下は、4月初旬の貿易戦争による市場急落から回復したS&P 500の短期的な上昇を抑制する可能性がある。S&P 500 は 4 月の安値から約 20% 上昇しているが、ここ 4 週間はほとんど動きがない。

「地政学的な状況による全体的なリスクは依然として高すぎるため、市場に急いで戻ろうとは考えていない」と、ワシントンの F/m Investments の最高投資責任者、アレックス・モリス氏は述べた。

米国株式先物は、日曜日午後 6 時（グリニッジ標準時 22 時）に取引を再開する予定だ。

リスク資産が下落する中、投資家の短期的な株式市場変動への期待が高まっている。

Cboeボラティリティ指数は金曜日に2.8ポイント上昇し、20.82で取引を終え、3週間ぶりの高水準となった。

ウォール街の「恐怖指数」とも呼ばれる VIX の上昇とボラティリティ先物は、「株式市場参加者によるリスク回避の高まりの典型的な兆候」だと、ブティック投資会社 Little Harbor Advisors の共同ポートフォリオマネージャー、マイケル・トンプソン氏は述べた。

トンプソン氏は、数ヶ月後に満期を迎える先物の水準に向けて、あるいはそれを上回る上昇がないか、短期のボラティリティ先物価格を注視すると述べた。

「これは、短期的なヘッジが適切であることを示唆する」と述べた。

BCAのゲルテン氏は、国内と世界の緊張の混合は、ほとんどの市場で不確実性と不安をさらに高める要因だと述べた。

「重大な社会不安は通常、ボラティリティをある程度押し上げる。中東危機が加わったことで、警戒すべき時期だ」と述べた。

ロイター