
日銀は27日、2020年3月期決算を公表した。3月末時点で保有していた上場投資信託(ETF)の時価と簿価の差額である評価損益は、3081億円の含み益となった。コロナウイルスの感染拡大を背景とする株価急落で一時3兆円規模の含み損が出ていたが、辛うじて損失を回避した格好だ。
もっとも、昨年9月末時点では約4兆円の含み益を計上しており、コロナショックでその大部分が吹き飛んだことになる。
企業の純利益に相当する当期剰余金は1兆2952億円(前期は5869億円)と増益だった。将来の金利上昇に備えた引当金の計上を圧縮したため。日銀は剰余金から法定準備金や配当金を差し引いた1兆2305億円を国庫に納付した。
一方、3月末の総資産残高は604兆円と8年連続で過去最高を更新。そのうち国債が485兆円と過半を占め、ETFも約30兆円に残高が拡大した。
JIJI Press