
東京:コロナウイルスが日本を揺さぶる中、政府の巨額の刺激策は喫緊のキャッシュニーズを抱える企業への支援を加速するものではなく、和牛やメロン、観光などへ資金を注入するものとなっており、大打撃に苦しむ飲食事業者は怒りの声を上げている。
飲食業界の苦悩は、日本の復興計画におけるより大きな問題を浮き彫りにしている。復興計画予算は2.2兆ドルとイタリア経済と同規模となっているが、それでもある重要なセグメントにとって十分な支援とはなっていない―国の労働力の70%を雇用する小企業だ。
これは、日本が今直面している戦後最悪の不況からの回復を危険にさらすものである。2,320億ドル規模の飲食産業は、宿泊業と合わせて年間約130万人の新規雇用、つまりすべての新規雇用の約17%を創出するため、成長のために極めて重要な産業である。
現在のコロナ禍の間、30の飲食事業者を含む190以上の小企業が破綻した。
しかし、数十億ドルを注入するはずの政府の遅い対応は書類処理に手間取られ、給与と家賃の支払いのため緊急に現金を必要としている多くの企業が同じ運命にさらされている。
これとは対照的に、当局は観光を促進するための「Go To」キャンペーンに160億ドル近くを費やし、政治的に大きな力を持つ農業者・漁業者によるマンゴー、マグロ、ブリなどの高価な食品の助成に13億ドルを費やす計画を急速に進めている。また、ほぼすべての便が運航停止しているにも関わらず、国際線の促進のための追加の9000万ドルも確保されている。
「私たちだけでなく、他の多くの事業者も資金が底をつき始めています。現状のまま置かれれば、次々と倒れていくでしょう。そうすれば、観光キャンペーンの恩恵を受けられる人は誰もいなくなります」と42歳の森山佳和さんは言う。
森山さんの魚料理店 IROM Inc. の6店の売り上げは90%減少し、家賃と約100人のスタッフの給与の支払いに苦しんでいる。
「私たちが今必要なのは未来の観光キャンペーンではなく、家賃の支払いや閉店にかかる損失補填のための財政支援です」と、森山さんはロイターに語った。
一部の事業者は、家賃をカバーするための一事業者当たり最大55,000ドルの政府の補助金は不十分であり、店舗が営業を続けキャッシュフローを解放するためにできることはもっとあるはずだと言う。昨年の日本の全飲食店の賃料は合計130億ドルであり、観光プロモーションに注入される160億ドルを下回るものであった。
政府の補助金リストには、5つ星の神戸牛サーロインステーキ(100g当たり約37.20ドル)や、1.6kgの果物1個あたり90ドル以上で販売される最高品質の夕張メロンなどのアイテムが並ぶ。
農林水産省の西尾悟氏は、高価なマンゴー、イチゴ、マグロもカバーするこの補助金は「インバウンド観光客や輸出の減少に直面している農家を支援する」ことを目的としていると述べた。
政府はインターネット販売、テイクアウトサービス、学校給食提供のための農産物の購入コストの半分を助成している。例えば、販売者は和牛100gあたり9.31ドル、メロン1キロ当たり22.34ドルまで受け取ることができる。
お役所仕事により止まった資金
小企業には合計1,900億ドルの資金供給、融資、現金の補助金、その他の支援金が確保されているが、一部のアナリストによると、苦しむ企業はお役所仕事により迅速に必要な現金にアクセスできずにいるという。
「政府の金融機関は、キャッシュフローの枯渇を防ぐために家賃の支払いに利用できる融資を提供すべきです」と、ハワイアンスタイルの飲食店Eggs'n Things 22店を含む30店の飲食チェーンを運営し、現在約600人の従業員を雇用する元国会議員の松田公太は言う。
「補助金だけで家賃をカバーすることは不可能です」と松田氏は言う。松田氏は給与で65万ドル以上、家賃で372,370ドル以上となるキャッシュニーズを満たそうと補助金を申請したが、手間のかかるプロセスに苛立ちを覚えている。
先週の土曜日に完全に営業を再開した氏の店の4月の売上は、前年比で90-95%減少した。
数件の補助金を申請したIROMの森山さんは、損失を補うには「十分には程遠い」額だと語った。
「自分の事業がどうなるか予想もできません」
ロイター