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ブラックストーン日本代表:年1000億円規模投資を継続=訪日需要や医薬など注視

もう一つは、落ち込みが中長期的には回復する業界だ。旅行やライブエンターテインメントは2年程度すれば需要が戻る可能性が高い。(Shutterstock)
もう一つは、落ち込みが中長期的には回復する業界だ。旅行やライブエンターテインメントは2年程度すれば需要が戻る可能性が高い。(Shutterstock)
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06 Jul 2020 07:07:46 GMT9
06 Jul 2020 07:07:46 GMT9

米大手投資会社ブラックストーン・グループの未公開株投資(PE投資、企業買収)部門の坂本篤彦・日本代表は6日までに時事通信のインタビューに応じ、「日本は安定市場であり、機会があれば積極的に投資していく基本姿勢は変わらない」と述べた。新型コロナウイルス感染拡大によって経済情勢が変わった後も、企業価値ベースで年間1000億円規模の対日投資を続ける意向を示した。注目分野としては、危機後の訪日外国人旅行者(インバウンド)需要の回復を見込み、国内の観光関連企業を挙げたほか、医薬品などヘルスケア、インターネット通販(EC)で活況を見込む物流サービスを示した。主なやりとりは次の通り。

―新型コロナ感染拡大の経済的影響は。
コロナ危機によって打撃を受けた業界は2種類ある。一つは、以前から縮小が想定され、今回の危機でそれが加速する業界。例えば、百貨店や事務プリンターなどはこれまでよりも事業モデルの転換を迫られるだろう。もう一つは、落ち込みが中長期的には回復する業界だ。旅行やライブエンターテインメントは2年程度すれば需要が戻る可能性が高い。ブラックストーンは、中長期的に需要回復が見込める業種については引き続き投資していく。レスキュー(救済)的な投資も検討する。こうした業種は世界経済が拡大する中、コロナ危機で一度需要が落ち込んだとしても、やがては回復するとみている。

―資金調達に影響はないか。
ファンドの組成についてはグローバルでは影響は受けていない。世界の年金基金などの投資意欲は強い。ブラックストーンは1月に2.6兆円規模、3~5月には、優良企業に10~15年投資する「コアエクイティー」と呼ばれるファンドを8000億円規模で組成した。グローバルで合計4兆円規模の資金を5年程度かけて投資していく。

―買収時の借入資金の調達環境は。
欧米は社債などの市場があり、米連邦準備制度理事会(FRB)が緩和措置を取る中、良い条件で資金調達できている。一方、日本は市場に厚みがなく、LBO(レバレッジド・バイアウト)資金を銀行が提供している。銀行はほかの資金需要にも対応しており、今後の景況悪化で与信費用が膨らむ。そうした中で、LBOローンの供給という点では(良好だった)昨年と異なる環境になる可能性がある。

―国内投資方針に変化は。(2019年以降の5年前後で)年に企業価値ベースで1000億円規模を投資する方針に変わりはない。もちろん、良い案件が出た場合は(方針を上回る規模でも)投資する。日本は基本的に安定した市場であり、機会があれば積極的に投資していく基本姿勢は変わらない。

―どの分野に投資するのか。
投資先の検討で注視する分野は三つある。一つは医薬品などヘルスケア。少子高齢化に伴い、医療費が高止まりし、安価で良質な薬の需要は大きい。19年に買収した「あゆみ製薬」はバイオ後発医薬品を手掛けている。医療費抑制の流れの中、同社のバイオ後発医薬品の売上高は投資前に10億円規模だったが、投資後に40億円規模に伸びた。

もう一つはインバウンド需要。宿泊関連や訪日観光客が買う商品・サービスが考えられる。コロナ危機で落ち込んだ需要が回復する時期は予測が難しいが、2年前後で8割戻るのか、3年なのかといったことをさまざまな視点で検討している。

三つめはEC関連だ。百貨店などの事業が厳しくなる一方、ECは需要拡大が見込める。ECを支える物流施設は重要だ。グローバルで、この約5年に物流施設に投資している。(米アマゾン・ドット・コム日本法人や楽天のような)EC大手と競争するのではなく、EC大手が使う物流サービスなど需要が広がる企業に投資する。

―コロナ危機に対し、政府は産業革新投資機構(JIC)などの公的ファンドの資金枠を拡充した。こうした公的ファンドと共同投資する可能性はあるのか。2割前後の期待リターンが求められ、リスクを取る民間ファンドと、期待リターンが0%近くだが税金で損を出すことができない公的ファンドが、一緒に投資するのは難しい面がある。民間ファンドと公的ファンドはリスクの取り方が違うため、投資分野を住み分けることになるのではないか。(国際的なエアライン産業などは)基本的に政策判断が重要であり、政府資金で解決した方が良いのではないか。外資ファンドが簡単に関与できる分野ではないと思う。

―政府は5月に改正外為法を施行し、安全保障に関わる企業への投資審査を厳格化した。
安全保障に関わる投資には慎重に対応している。PEファンドは頻繁に株式を売買しているわけではなく、今回の法改正の直接的な影響はないと思う。

一方、今回の改正によりアクティビストが投資しにくい面があるならば、(アクティビストによる)企業の非中核事業売却提案などが鈍り、間接的にPEに負の影響が及ぶ可能性もある。

JIJI Press

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