
東京:米ドルは、金曜日、ほぼすべての通貨に対して守勢に立たされた。失業保険受給申請件数の急増と財務省の利回り低下により、米ドルを保持することの魅力が薄れたためである。
人民元は対ドルで7ヶ月ぶりに上昇を見せた。これは、米中間の外交的緊張にも関わらずとトレーダーが中国の経済的展望について依然強気であることを示している。
ユーロは、これまで米ドルの下落から最大の恩恵を受けてきたが、トレーダがユーロ圏の製造業データ発表に対して備えを固めており、金曜日後半に明確な動きを見せる見込みである。
失業保険受給申請週間件数の予想を上回る増加は、連邦当局が雇用が失速し始めていると警告したたった1日後に明らかとなった。このため、世界最大の米国経済が新型コロナ禍からどの程度迅速に回復できるのかという点について不安が高まっている。
米国経済への懸念は、FRBの大規模な量的緩和による米ドルの過剰供給や流通と組み合わさり、今後何週間にもわたって米ドルに重くのしかかる可能性が高いとアナリストは述べている。
「米ドルの地合いは弱くなっています。これは、量的緩和と米国の実質利回りの低下を反映した結果です」とマネックス証券のクレジット・トレーダーである相馬勉は述べた。
「ユーロは、逆に、強くなっています。欧州は、経済成長支援のために既に緊急対策を講じており、そのおかげでユーロとユーロ圏の債権への信頼が高まっています」。
米ドルはわずかに下がってユーロ/米ドルは1.1874となり、直前の取引時間帯の0.2%安に続いた。
英ポンドは、木曜日の0.8%の増加から下落することなく、英ポンド/ドルは1.3237に上昇した。
米ドルは、また、セーフハーバーである対スイス・フランの損失を伸ばし、米ドル/スイスフランは0.9077で金曜日の取引を終えた。
オンショア人民元は1ドルあたり6.8960に上昇し、1月22日以来の最高値となった。オフショア人民元は一時的に6.8935に達し、1月21日以来で最も強くなっている。
中国通貨は、新型コロナ禍が最初に発生した中部都市武漢が封鎖されて以来の下落を完全に回復した。
米ドルは、木曜日の0.3%の下落の後、105.72円で取引されている。
失業手当の新規申請を行う米国人の数は、先週、予想に反して百万を超える規模にまで戻った。この新型コロナ禍で麻痺させられた米国労働市場の苦境は、木曜日にデータによって明らかになった。
財務省の利回りのわずかな低下は、米ドルに不利に作用するもう1つの要因である。
6つの通貨のバスケットに対する米ドル・インデックスは9週連続の下落となる方向に進んでいる。
水曜日に発表されたFRBの最新の会合のハト派的な議事録発表により、米ドルの地合いと株式を初めとするリスク資産は既に打撃を受けていた。
現在高まりつつある共通認識は、欧州各国政府が経済成長のための断固とした景気刺激策を講じ続けているが故にユーロは上昇を続けるというものである。
欧州とは対照的に、米国では共和党と民主党が景気刺激策を巡って依然対立を続けている。これが米ドルよりもユーロに有利に作用しているとアナリストは述べている。
上記以外で現在要注目の通貨としては、豪ドル/ドルが0.7202ドルと安定状態を保っている一方で、ニュージーランド首相が新型コロナ禍対策のオークランドでのロックダウンを緩和するか否かの決定を月曜日まで先送りとしたことでNZドル/ドルが0.6536ドルとなったことが挙げられる。
ロイター