
Najia Houssari
ベイルート: レバノン国内で新型コロナウイルスの感染拡大を遅らせるために政府が課すロックダウンに対し、ベイルートをはじめとする都市の店舗、レストランなどの事業主らが反発し、26日に事業を再開させると述べた。
こうした反発は、レバノンの新政権発足の行き詰まりや財政危機の悪化に対する懸念の高まりを反映している。報道によると、レバノンの中央銀行「バンク・デュ・リバン」のリアド・サラメ総裁は先週、ミシェル・アウン大統領、そして暫定的に就任しているハッサン・ディアブ首相とガージー・ワズニー財務相に対し、パンや燃料、薬などの生活必需品の補助金に充てる現金はあと3ヵ月分しか残っていないと伝えたとされる。利用できる金額は196億ドルで、そのうち175億ドルは銀行顧客の預金の一部をカバーするために保管しておく必要がある。つまり、補助金に使える金額は21億ドル、1ヵ月に7億ドルということになる。
この財政難は、2019年には75億ドルに達した海外移住者からの送金が減少したこと、年間70億ドルにのぼる観光業の崩壊、投資の不足が原因だ。
ベイルート商業組合のニコラス・チャマス代表は、「国が国民に代替収入を提供できておらず、銀行預金へのアクセスが制限されていることを考慮し、ロックダウンを全面的に拒否する」と発表した。
さらに、事業を支援するための政府の行動が欠如していると非難し、次のように述べた。「年末までに25%の店が閉店するでしょう。年末まで商業施設の25%が残っていればまだ幸運な方です」
チャマス代表はすぐに「救国政府」を発足するよう求めてこう述べた。「私たちは物乞いではないので救済的経済への転換は拒否します。求めているのは生産的経済です」
8月4日にベイルートの港を破壊した爆発によって、市民の怒りを招いたことで前政権は今月総辞職した。多くのアナリストは、財政状況はいったん悪化すると予測している。レバノンの通貨価値は85%下落し、インフレ率は90%になり、新型コロナウイルスの第2波によってさらに問題が悪化している。ますます多くの人が職を失っているにもかかわらず、レバノンには失業者を救うための社会的セーフティーネットがない。
一般労働組合のビシャーラ・アスマール代表は「中央銀行の外貨準備高が底を打ったという事実に、なぜ政治家たちは触発され、すぐに解決する方向に進んでいかないのか理解できません」と述べた。「政治家は戦略の開始を決断できる有能な人々で政権を作らなければなりません」
「問題解決のための第一歩は、経済政策に最低限の理解を持つ政府を作ることです。国民によって選ばれた指導者が話し合いをしないことは許されません」
財務省の消息筋は次のように述べた。「国が直面している経済崩壊に対処するために一連の措置を講じることはできたはずだが・・・問題は権力者の中で誰も譲歩したがらないことだ」
経済を回復させるには、レバノンが国際社会から数十億ドルを借りる必要がある。そのローンを利用する主な条件は抜本的な経済改革だ。24日、ワズニーはアウン大統領にコンサルティング会社アルバレツ・アンド・マーサルとの契約書を渡した。中央銀行の口座には法的な監査が行われる予定だ。ワズニーは、契約書は数日以内に署名され、4~5日後には監査が始まると予想している。また、最初の監査報告は10週間以内に公表される。
「大統領は、監査がすべての公的機関を対象とし、中央銀行の口座に限定されないようにしようと意欲的です」とワズニーは述べた。