
ロンドン:ロイター通信の調査によると、OPECの10月の原油生産量は増加した。増加は4か月連続。これは、リビアで生産を再開する施設が増えたことに加えてイラクの輸出が増加し、他の加盟国によるOPEC主導の供給削減合意の完全な順守を相殺したため。
13か国からなる石油輸出国機構(OPEC)の10月の平均生産量は日量2,459万バレルで、9月から21万バレル増加し、30年ぶりの低い水準となった6月からさらに上昇していることが調査で明らかになった。
OPECの供給量の増加とコロナウイルス感染者の増加による需要への新たな打撃が原油価格を圧迫しており、10月の原油価格は8%下落して1バレル37ドル付近まで下落した。このため、OPECとOPECプラスとして知られる協力国には、2021年1月に予定されている供給量の増加を延期するよう圧力がかかっていると一部のアナリストは指摘している。
原油ブローカーPVMのスティーブン・ブレノック氏は「現在、石油需要は支持的ではない。最低でも、OPECプラスは3月末まで現在の生産量を先延ばしする必要がある」と述べている。リビアは、OPECプラスによる供給抑制のための合意から免除されたOPEC加盟国の1つだ。
OPECプラスは、パンデミックにより需要が失われたため、5月から世界の生産量の10%に当たり記録的な削減量となる日量970万バレルを削減した。8月以降は、削減量を日量770万バレルに減らしたOPECプラスの生産量は増加しており、そのうちOPECによる生産は日量468万8千バレルとなっている。
同調査によると、減産の責を負うOPEC加盟国の10月の減産順守率は101%を達成しており、9月から安定していることが分かった。10月の増加は、OPECによる原油生産量が6月の数字を日量約220万バレル上回ったことを意味する。6月には生産量が1991年以来最低となっていた。
リビア東部のハリファ・ハフタル司令官が、同氏の軍が8か月間行っていた原油輸出封鎖を解除すると発言した後、リビアの生産量は増加している。
調査によると、10月の生産量は日量25万バレル増加し、一部のアナリストやOPEC関係者の予想を上回るペースで増加した。
2番目に増加量が多かったのはイラクで、イラク南部の末端施設からの輸出が増加した。減産順守率は依然としてほぼ100%で、イラクがこれまでのOPECプラス合意で達成していた水準を上回っている。同調査によると、最大輸出国のサウジアラビアもクウェートと同様に生産量を安定的に維持していた。
同様にOPECの減産対象外となっているイランは、米国の制裁に反抗して9月に生産量を増加させた後、供給量にほとんど変化は見られなかった。輸出は10月にわずかに減少していることが調査で分かった。
生産量を削減しているOPEC加盟国の中で最大の減産国はUAEだった。UAEは8月に割当量を上回る量を生産していた。業界筋によると、今回の減産はUAEが8月の増産分を依然として相殺していることを示唆しているという。
供給量削減の対象外となった3番目のOPEC加盟国のベネズエラも減少した。
ロイター通信の調査は市場への供給を追跡することを目的としており、外部の情報源から提供された出荷データ、Refinitiv Eikonのフローデータ、Petro-LogisticsやKplerなどのタンカー・トラッカーからの情報、石油会社やOPEC、コンサルタントなどの情報源から提供された情報に基づいている。
ロイター通信