
ラシード・ハッサン
リヤド:サウジアラビアは非常に有効な方法で新型コロナウイルスの流行に対処しており、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の議長国としての役割を果たすにあたって自ら模範を示している、とヨルク・ラナウ駐サウジアラビア・ドイツ大使はアラブニュースに語った。
独占インタビューで、ラナウ大使は次のように述べた。「サウジアラビアは、G20サミットの議長国として、新型コロナウイルス流行に模範的な姿勢で対処してきました。多数の会議をオンライン形式で開催するという決断は、世界の現状の注意深く現実的な分析に基づいたものであり、この問題についての議長国として責任ある態度を証するものです」
「新型コロナウイルスの流行が始まって以来、議題を再検討する必要があることは明らかでした。サウジアラビアには、世界経済の利益にかかわる他の主要な問題を見失うことなく、困難な状況下での持続可能な解決に向けて、他のすべてのG20メンバー国とともに取り組んでいく姿勢を示したという功績があることは疑いありません」とラナウ大使は付け加えた。
G20の議長国が担う、世界が正しい方向に進んでいくようアシストする責任について、大使は、多国間主義および協力して世界的な課題の解決策を見つけていくという信念が、G20の中心にある考え方だと語った。
「ドイツは、G20を創設以来強く支持しています。 G20は、90年代のアジアの通貨危機に対応するため設立され、国際協力の主要なフォーラムへと発展してきました。議長国としてサウジアラビアが提示するテーマは時宜に合ったもので、国際社会全体が注意を払うべきものです。気候変動との闘い、そして若者と女性の地位向上に関してG20が行った議論と調整の成果は、これから先の国際的な取り組みの重要なガイドラインとなるでしょう」とラナウ大使は述べている。。
大使はまた、リヤドでのサミットには次のような点が期待されるという。「グローバリゼーションが進むにつれ、その結果によって人々が受ける影響にいかにばらつきがあるかを、私たちはますますはっきりと目の当たりにしています。たとえば、CO2排出量は産業の栄えている地域で特に多く発生しますが、地球温暖化の影響は、グローバル・サウスの国々によって最も強く感じられています。同様に、一部の地域は近隣諸国との平和の中で繁栄を享受し続ける一方、他の地域は激しい紛争に苦しんでいます。このような時代においては、G20のような多国間フォーラムが、私たちの取り組みをより合理化し、またベストプラクティスを共有することは、世界的な不平等を改善するために取り得る方策の中でも、非常に重要性が高いものです。そのような努力を続けてこそ、グローバル化したこの世界が生み出す機会が、すべての人々が平等に与えられるようになるのです」
ラナウ大使はまた、G20のアジェンダは広範囲に及ぶものだと述べた。 「気候変動は、私たちの時代においておそらく最も差し迫った課題です。この問題はその性格上グローバルなものであり、国際社会全体によってのみ効果的に対処できる問題の代表的な例と言えます」
「気候変動は本質的に産業活動と消費者活動に関連しているため、G20は、世界を主要先進国のグループとして、関連する責任を負わなければなりません」と大使は語った。また、「私たちは、パリ協定の実行とその不可逆性に対する、広範かつ明確なコミットメントを目指すべきです」と主張し、ドイツは長い間、G20のアジェンダの中で持続可能な開発を特に重要な事項とするよう長い間提唱してきたとも指摘した。日本が議長国を務めた昨年の首脳会議で、G20は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」のタイムリーな実現に合意している。
「したがって、サウジアラビアが議長国を務める今回のG20が、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」への資金提供へ具体的な行動を取ろうとするのは、適切な方向性と言えます。ドイツを議長国としていた時に開始された、アフリカへの民間投資を促進するための「G20アフリカとのコンパクト(Compact with Africa)」を、サウジアラビアを議長国とする今も前進させ続けることもまた大切です」とラナウ大使は付け加えた。
また、雇用と成長を促進するための決議を行う必要性については、大使は次のように述べている。
「世界各地のダイナミックな市場は、貿易によって相互につながっています。そして、こうした環境をより良いものに発展させていくには、公正かつ自由、そしてルールに則った、グローバル貿易体制が必要であると私は確信しています」
「G20にとって非常に重要な役割を果たしている金融分野について言えば、私たちはデジタル経済への公正な課税に取り組まなければなりません。そして、法人税の条件をより公平化していく努力も必要ですが、この分野は今年中に一定の解決が見込まれています」とラナウ大使は説明した。
大使はまた、アラブ世界で初めてG20サミットを主催することにより、サウジアラビアは、中東と北アフリカ地域の視点を共有する機会をG20にもたらすことになる、と述べた。「サウジアラビアは、2つの大陸、また新興市場と先進国市場の接点に位置しています。 G20を真にグローバルなフォーラムにするためには、若者と女性の地位向上、よりクリーンで持続可能なエネルギーシステムおよび水管理などの問題に考えられるあらゆる角度から取り組む必要があり、G20におけるそうした議論には、地域からの視点が非常に重要になるのです」と大使は語った。
ラナウ大使はまた、サウジアラビアとドイツの関係は長い歴史を持ち、両国は経済・政治・文化の各分野で重要なつながりがあると述べた。
「G20サミットに向けて、ドイツからさまざまな派遣団が閣僚級の会議、また最終的にはリヤドでのサミットに出席するため、サウジアラビアを訪れます。これにより、既存のドイツとサウジアラビアの関係はさらに強化され、新しいつながりもまた生まれることでしょう」と大使は付け加えた。「過去数年間、私たちはサウジアラビアで進行している途方もない改革の進展を目の当たりにしてきました。最近では、文化・エンターテインメントイベントのリヤド・シーズンで見られた多様なアクティビティも、改革の進展を反映したものと言えるでしょう」と大使は述べた。
「サウジアラビアには、以前からの、また新しい訪問客の両者を惹きつける魅力にあふれており、私自身も、駐サウジアラビア大使として滞在している間、この国に惹きつけられ続けることでしょう」とラナウ大使は語る。
サウジアラビアの社会とその経済に見出されるチャンス、またサウジビジョン2030を通じた多様化への道のりについては、大使は次のように話している。「サウジアラビアを議長国とするG20サミットの開催は、この国が世界に門戸を開いていくことを象徴しています。サウジアラビアは、大規模な社会的および経済的変革に着手しました。ビジョン2030です。若者や女性の地位向上、中小企業の育成など、その多くの要素は、G20のアジェンダにも通じるものがあります。
「G20サミットでの議論が、サウジアラビアの改革プロセスを特徴づけているのと同じ熱意と革新的な精神をもって進められることを願っています。特に今年は、これまでにないほど、G20サミットが有意義な成果を出すことが世界から求められており、またそうした成果を出せる可能性が十分にあるのですから」と大使は付け加えた。