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2020年のワールドカップまで生き残ろうと奮闘するカタールのホテル

カタールは、ワールドカップを観るために、一大イベントの前後数カ月のうちに、この小さな湾岸地域の国に150万人もの人々が押し寄せることを期待している。(AFP通信)
カタールは、ワールドカップを観るために、一大イベントの前後数カ月のうちに、この小さな湾岸地域の国に150万人もの人々が押し寄せることを期待している。(AFP通信)
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20 Nov 2020 04:11:34 GMT9
20 Nov 2020 04:11:34 GMT9
  • カタールのホスピタリティ産業は、サッカーの人気イベントのために事業拡張しているちょうどそのとき、渡航制限が課され、スタッフの事前配置が困難になっている

ドーハ:カタールは2020年のワールドカップ・カタール杯で、贅沢な超高層ホテルを売り込んでいたが、新型コロナウイルスの抑制と新たなホテルの供給過剰が、この産業を存続危機に追い込んでいる。

カタールのホスピタリティ産業が、サッカーの人気イベントのために事業拡張しているちょうどそのときに、海外旅行者の締め出しばかりか、渡航制限も課され、スタッフの事前配置が困難になっている。

カタールを拠点としたホテルのある元経営者は、準備が「困難」になっており、スタッフの配置はホテル開業に間に合うレベルに達していないと語った。

「これは大変です」と、元経営者の女性は語った。

ドーハのあるホテルマネージャーは、海外からスタッフを連れて来るのに、3カ月から5カ月待たなくてはならず、スタッフのトレーニング計画が困難になっていると語った。

湾岸諸国の多くの国々と同様に、移住労働者は天然ガスが豊富なこの首長国に不可欠だ。この国では、出稼ぎ労働者の人数が、333,000人のカタール人の数を上回り、ほぼ9対1の割合になっている。

国内旅行を支える中流階級の人々が多くいないので、カタールは2022年に先駆けて、カタール航空に乗ってドーハ経由で乗り換える乗客の小旅行を促進して、自国のホスピタリティ産業を拡張することを望んできた。

こうした促進活動は、現在凍結されている。

カタールはワールドカップを観るために、一大イベントの前後数カ月のうちに、この小さな湾岸地域の国に150万人もの人々が押し寄せることを期待している。

しかし、このトーナメントのために必要なホテルの供給部屋数が増えたこので、開催される前の2年間で、経営者は損害を被りそうだ。

ホテル市場は、「一般的に供給過剰になっています」と、不動産評価の専門企業、ValuStratのパヴェル・バナッハ氏は語った。同企業はカタールにある全てのホテルが、新型コロナウイルスよる景気減速の中で生き残れるとは限らない、と警告していた。

カタールの非居住者たちは大抵、3月以降この国を訪れることができないので、カタールが課した厳格な封鎖の中で、小規模なホテルが最も苦しんでいる、と前述したドーハのマネージャーは語った。

「ホテルの中には、出稼ぎ労働者スタッフのうち、30パーセントから50パーセントがいなくなっているところもあります」と、同マネージャーは付け加えた。「この国は間違いなくコロナの影響を受けているのです」

ドーハの最も有名なホテルでさえ、今やめったに満室にはなることはない。宿泊需要が落ち込んでいるので、多くのホテルが館内のバーやレストランに依存して、何とか経営を成り立たせている。

こうした状況の中で、すぐにホテル景気が回復する見通しは一切ない。

厳格な入国制限は、1月まで延長されているので、不動産サービス企業、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの予測通り、2020年の間にホテルが50パーセントの客室稼働率を上回ることはなさそうだということになる。

ホテル業界は2019年に10パーセント以上収益がダウンしており、多くのホテルで最終収益を圧迫している。

前述のバナッハ氏によれば、それでもカタールは、2022年までにホテルの客室収容能力を28000室からおよそ45000室まで増やすことを目指しており、新たなホテルをオープンして、既存ホテルが利益を得続けることがますます困難になっているという。

「ホテル業界は、間違いなくかなり供給過剰となっており、ホテルの維持が困難になるでしょう」と、バナッハ氏は語った。「とても難しい市場であることは明らかです」

こうした問題があるなか、デベロッパーたちの中には高級志向のホテル計画に見切りをつけ、その代わりに、国外居住する専門職の人々に人気となっているホテル形式のサービスアパートメントとしてオープンする業者もある。

石油価格が暴落し、湾岸諸国の事業が不振になった2016年以降ずっと、カタールのホテル産業は不運に見舞われてきている。

これに、2017年の湾岸危機が続いた。湾岸危機により、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、その他の国々が突然カタール政府との国交を断絶した。

この国交断絶により、かつてはカタールの主要な収入源であったこの近隣2カ国からの観光は、一夜にして枯渇してしまった。

膠着状態に陥ったなかで、この近隣2カ国は、カタールがイランや過激派と親密過ぎるとして、カタールを非難している。カタールがこの申し立てを却下しているにしても。

AFP通信

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