• ハレド・アル・オサイリー経済相は、財政損失を約30億ドルと見積もった

Hazem Balousha

ガザ市：2020年の初めには、パレスチナのGDPは2014年以来最低の成長率だった2019年の約1%に対し、2.4%成長すると予測されていた。

しかし、COVID-19のパンデミックと、パレスチナ自治政府がイスラエルからの税収の受け取りを拒否したことが相まって、そうした期待は満たされないこととなった。

3月、マフムード・アッバース大統領率いるヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治政府はCOVID-19の蔓延を抑制するために非常事態宣言を出した。ハマスは事態の現実を受け入れるのが大きく遅れ、ガザ地区でのCOVID-19の発生を受けて、ようやく8月になおさら厳しい措置を課した。

ハレド・アル・オサイリー経済相は、財政損失を約30億ドルと見積もっており、14億ドルと見積もられた公的予算の赤字に端を発したパレスチナ自治政府の財政的苦境はさらに深まっている。

アル・オサイリー氏はアラブニュースに、感染防止措置は地域社会の健康のために必要だったが、同時に経済にとって「重い負担」となったと語った。

アル・オサイリー氏は、成長率が11%以上低下すると予想した。この数字は6月に発表された世界銀行の経済監視報告書で予測されている。

世界銀行の報告書によると、12万1,000人以上の労働者が職を失った。パレスチナの推計では、30万人の労働者が現在、完全または部分的に職を失っており、ガザの現実はさらに悲惨なものとなっている。ガザのビジネスマン・アソシエーションは、パンデミックによる経済的損失を10億ドル以上と見積もっている。

パレスチナ労働組合総連合のサミ・アル・アムシ会長はアラブニュースの取材に「パンデミックによって課せられた非常事態宣言により、10万人から16万人の労働者が失業者リストに名を連ねることになった」と話した。

同連合の調査によると、2020年の失業率は80%を超えた。「コロナウイルスは労働者を殺しており、まだ仕事がある労働者はいないと言っても過言ではない」とアル・アムシ氏は述べた。

5月にパレスチナ自治政府がイスラエルとの関係を断つことを決定したことから始まった税収危機とパンデミックが重なったことが事態を悪化させた。税収危機は、11月末にパレスチナ自治政府がイスラエルとの関係を回復し、イスラエルからの税収を受け取ることを決めた時に突然終了した。パレスチナ自治政府は運営費として毎月1億2,000万ドルから1億5,000万ドルを必要としている。

イスラエルが海外からパレスチナ自治区に輸入される商品や物資に課す税金は、毎月7億新シェケルを超え、パレスチナ自治政府の一般予算の約60%を占めている。イスラエルはパリ・プロトコルによる承認に従い、課税手数料として3%の徴収を行う。

専門家によると、パレスチナ自治政府がイスラエルとの関係を断ち切るという決定を覆した理由は2つあるという。それはジョー・バイデン氏が米大統領選で勝利したことと、同自治政府が経済的な義務を果たせなかったことだ。

ビルゼイト大学のナスル・アブデル・カリム経済学教授によると、イスラエルから25億新シェケルの税金を受け取ることは、パレスチナ自治政府の財政収入が80%減少した後、脆弱なパレスチナ経済を復活させるのに役立ったという。

「イスラエルは経済の重要性を最初から認識していたので、パレスチナ当局に政治的圧力をかけるために、その鍵を手放さなかった」と同氏はアラブニュースに語った。

エコノミストのオサマ・ノファル氏は、近い将来に経済が改善する可能性は低いと述べた。

「パンデミック発生前の経済の実態は、かつてない貧困率と失業率で悪化し、ほとんど崩壊していた。パンデミックはこの実態を悪化させた」とノファル氏はアラブニュースに語った。

「2019年の水準に経済が回復することでさえ、少なくとも3年はかかるだろう。年明けに世界がコロナウイルスを克服したとしても、経済サイクルが回復するには（まだ）時間が必要だ」とノファル氏は付け加えた。