
ソフトバンクグループの孫正義最高経営責任者(CEO)は月曜日、同社のビジョンファンド部門が損失から回復し、第3四半期に8,440億円(80億ドル)の利益を記録した後、「金の卵」を提供したことに胸を張った。
Uber Technologiesの株式を含む最初のビジョン・ファンドのポートフォリオのほぼ半分が12月末に売却または上場され、サウジアラビアとアブダビのソブリン・ウェルス・ファンドが支援するファンドに流動性を提供した。
サウジアラビアの公共投資ファンド(PIF)がソフトバンク・ビジョン・ファンドに450億ドルを拠出し、アブダビのムバダラが150億ドルを拠出したことで、ソフトバンクにとって最初の1000億ドル規模ファンドの主要投資家となった。
今回の利益は、オフィスシェアリング会社WeWorkのIPOの失敗やCOVID-19パンデミックにより、孫氏の投資帝国を安定させるために資産の売却を余儀なくされた1年前からの大きな変化を示している。
「私たちのビジョンは決して変わることはなかった」孫氏は最新の決算発表後に東京で行われた記者会見で語った。そして「金の卵は偶然に生まれるものではない」と付け加えた。アリババのような、「金の卵」となった急成長企業を支える「ガチョウ」のような存在がソフトバンクである、と表現した彼のお気に入りのアナロジーである。
日本で最も裕福な人物の一人である孫氏は、一般的にリスクを取ることを避ける日本のビジネス文化の中で、破天荒な異端児とみなされている。彼のビジョン・ファンドにとって、底堅い金利と浮足立った市場がハイテク株の上昇を牽引してきたことが好転の一因となっている。
この四半期に公開されたソフトバンク系企業には、販売プラットフォームのオープンドアやフードデリバリーアプリのドアダッシュなどがあり、後者の含み益は合計107億ドルに達した。白のタートルネックにダークスーツを身にまとった孫氏は、パンデミックの最中には、彼の投資帝国を運営するためにオンラインミーティングを繰り返していたと語った
1000億ドルにおよぶビジョン・ファンドが行った82件の投資は、購入価格が763億ドルであったのに対し、900億ドルと評価された。このファンドは設立以来、204億ドルの総利益を記録している。
ビジョン・ファンド2による26件の投資は、購入価格43億ドルに対して93億ドルと評価された。現在、ソフトバンクは同ファンドの唯一の投資家である。
投資先企業は、2020年に28回の資金調達ラウンドを実施しているが、ハイテク系ベンチャー企業への期待を反映して、ほとんどがソフトバンク以外の投資家が主導している
「ビジョン・ファンドが腐った卵を産んでいるとは言えない」と、ガチョウから金色の卵が出てくるアニメーションの画面の前に立って、指揮者のように腕を振る孫氏は言った。
ソフトバンクの運用子会社、SBノーススターは、同グループの手元資金を運用してきたが、12月末に220億ドル相当の台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)の米国預託証券(American Despository Receipts)を含む上場ハイテク株への持ち株を開示した。
同社は四半期中に27億ドルのデリバティブ損失を計上した。孫氏によれば、SBノーススターの業績は年初から改善しており、まだ試験段階にあるという。
中国の規制当局は11月にアリババのフィンテック関連会社アントの大型IPOを停止した。アリババの株式を最大の資産としている孫氏は、中国当局は独占禁止法や金融規制への懸念を強めているが、成長を続ける企業にとっては必要なことだと述べた。
アリババの創業者ジャック・マー氏は、IPO停止後、ほとんど公の場から姿を消しているが、絵を描いて孫氏に送っているという。そして、この日本の億万長者も寝る前に絵を描いているという。
ソフトバンクグループの第3四半期の純利益は20倍以上に膨れ上がり、1兆1700億円(110億9000万ドル)になったが、リフィニティブ・スマートエスティメートの4人のアナリストによる調査では1710億円の予想であった。
ロイター通信