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サウジアラムコのIPO目論見書は、史上最も利益を上げている企業の姿を教えてくれる

11 Nov 2019
テキサスのデゴライヤー&マクノートン社の監査によって昨年証明されたサウジアラムコの持つ埋蔵量は、5大独立系石油会社を合わせた量よりも多かった。アラムコの埋蔵量には、陸上および海上の世界最大の単独油田が含まれる。(AFP)
テキサスのデゴライヤー&マクノートン社の監査によって昨年証明されたサウジアラムコの持つ埋蔵量は、5大独立系石油会社を合わせた量よりも多かった。アラムコの埋蔵量には、陸上および海上の世界最大の単独油田が含まれる。(AFP)
Updated 12 Nov 2019
11 Nov 2019
  • 戦略的優先分野として強調された事業の下流部門

ドバイ:サウジアラムコの新規株式公開(IPO)目論見書は、この史上最も利益を上げている世界最大の石油企業の現時点での姿について、難しい世界経済とエネルギー情勢を背景にした詳細な情報を教えてくれる。

658ページに及ぶ情報や統計データ、および図表は、潜在的な投資家にとって過去最大規模のIPOとなることを約束するデータの宝の山である。また同時に、重要な時期にある世界のエネルギー市場のアナリストたちにとっては、必読の資料でもある。

原油業界の世界的展望に関して、この目論見書は将来の需要に関する最近の多くの予測よりも楽観的な未来図を描いている。

「原油の世界的な需要は拡大し続けると予測され、世界GDPの成長が重要な原動力となる」と、目論見書はワシントンを拠点とする石油業界コンサルタントIHSマーキット社の助言に従ってそう述べる。

国内総生産(GDP)の実質複利成長率は2030年までの13年間で2.9%とする。世界金融危機からの回復過程にあった過去10年の3.2%よりも下がるものの、貿易と地政学上の緊張状態に襲われた世界においては、依然として健全な数字と言える。

日本を除くアジアの成長率はさらに印象的で、今後12年間で5.2%とする。

「世界の原油需要は2018年から2030年の間に0.8%の拡大が見込まれる。非OECDアジア太平洋諸国やその他の発展途上国の需要拡大が、代替エネルギー源の利用可能性が高まることで起こる原油需要減少の影響を和らげると予測される」と、目論見書は付け加える。

戦略的優先分野としてアラムコが強調してきた事業の下流部門もまた、着実な拡大を示すだろう。精製製品の需要はエチレンに対して中国と北米を中心に世界的な必要性が高まり、2030年まで平均0.8%の成長を見せるとする。

サウジアラビアにおいて大きく成長する分野は、王国が発電燃料としての石油からの脱却を進める中でアラムコの未来戦略のもう1つの重要分野となっている、天然ガスの需要の中に生まれるだろう。ガスの需要は2030年まで年間3.6%増加すると目論見書は述べ、「その基本的な理由は発電および精製・工業部門からの需要増加」とする。

アラムコは、世界の精製業界において存在感を増している勢力でもある。一日490万バレルの石油総精製能力を持つ同社は、世界第4位の総合精製業者としてランクされている。上流と下流の活動を一体化するその戦略は、同社専用の精製活動を世界の貿易相手に売ることで、原油需要を確保できることを意味する。王国内における精製能力は、正味精製能力の62%を占めている。

純然な規模に関して、アラムコは石油業界の巨大企業であることを目論見書は確認している。2019年度前半期は非OPEC石油産出国との協定により生産が制限されたものの、1日に1,360万バレルを生産した。そのうちの約1,030万バレルが原油である。

2016年から2018年にかけてアラムコは、毎日世界中で生産される石油の約8分の1を汲み上げた。

その生産量によって同社は、企業世界において最大の圧倒的な利益を稼ぐ会社となった。昨年の利益1,110億ドルは、アップルやグーグルなど最大の上場企業よりも多い。アップルもグーグルもその企業価値は、各銀行のアラムコ推定評価額範囲によって示唆されたどの数値よりも大幅に低い。

現金創出の評価基準でも、アラムコは石油業界の競合他社グループの上を行く。今年前半期においてアラムコは、営業活動から520億ドル以上の純現金収入を生み出し、純現金収支を380億ドルとした。借入金は少なく、今年これまでに世界の債券市場で記録破りの120億ドルの社債を発行したのみだ。

アナリストたちは評価額にプレミアムを乗せるべき特別な財務力の1つとして、アラムコが生み出すことのできる持続可能な純現金収支を挙げる。エクソン・モービル、シェブロン、BP、シェルなど石油市場の独立系競合他社と異なり、アラムコは今後10~15年の間、油田のリプレースに多額の資金を使う必要がない。

同社が生み出す年間1,200億ドルもの持続可能な純現金収支は全て、成長分野や研究開発に再投資することができ、最低750億ドルに設定されたIPO投資家に対する配当の支払いにも充てられる。

同社が石油供給能力を生み出すために資金を確保しておく必要がない理由は、王国のある場所には巨大な埋蔵量が存在するためだ。テキサスのデゴライヤー&マクノートン社の監査によって証明されたアラムコの持つ昨年末時点での埋蔵量は、5大独立系石油会社を合わせた量よりも多かった。アラムコが持つ2,615億バレルの原油を含む3,362億バレルの石油埋蔵量には、陸上および海上の世界最大の単独油田が含まれる。

アラムコとサウジ政府の間で2017年に結ばれた利権協定に基づき、同社はそれらの埋蔵量を40年間にわたり、独占的に探索、開発、および生産する権利を持つ。同期間はその後、20年の期間にわたって延長される可能性がある。

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