
ロンドン:市場データやアナリストによると、原油先物取引はCOVID-19危機当初の数ヶ月間のような激しい値動きを見せており、原油ブル・ベアは着実に上昇する価格のぶれを抑えようと急いでいる。
原油先物はすでにパンデミック前の水準まで回復しており、ブレント原油先物は1年足らずで55ドル、今週は70ドルまで急騰しているが、実際の燃料需要は依然として低いままだ。
だが、人々がかつてのように移動や通勤をするようになる時期や可能性についての憶測が市場の激化を促し、歴史的な取引量の増加を見せている。
ブリタニア・グローバル・マーケッツのシニア・エネルギー・ブローカーであるマーク・ローウェルは、「どのような解決策が取られるか不透明な状態が続いていることで、現在の状況がますます顕著になっている」と述べている。
米国商品先物取引委員会(CFTC)の発表によると、生産者およびマーチャントが保有する米国産WTI原油の月間契約総数は、2月に5月以来初めて100万件を超えたという。
一方、ICEのブレント先物の市場建玉数は2月19日に280万件と昨年4月の記録を上回り、過去最高となっている。
建玉とは市場におけるトレーダーのポジション(ロングまたはショート)のことで、将来の価値に対するトレーダーのセンチメントを反映している。
石油市場の参加者が先物取引を行うのは価格変動によるビジネスへのリスクを軽減するためだ。生産者は価格上昇に対する防衛策としてショートポジションを持ち、消費者は価格下落のリスクを軽減するためにロングポジションを持つというのが一般的だ。
米国エネルギー情報局(EIA)の発表によると、最近の原油価格の高騰により、生産者と消費者の双方が競って市場に参入することになったという。
EIAは今週、「現在の高値は、原油生産者にとって、この価格に基づいた契約レートを確保しようとするインセンティブになっている」と書いている。
「原油価格が継続的に上昇する可能性があることは、現物市場の買い手にとって、価格が継続的に上昇する場合に備えて、現在の水準で契約レートを確保するインセンティブとなる」
需要を待って
世界の需要と供給が一致するのは2021年の後半と予想されており、先物価格の4ヶ月に渡る高騰と現物の販売量の低迷がこの不安定さを際立たせている。
「現在のボラティリティの主な要因は、先物市場における投機的な非物質的取引である」とローウェルは補足する。
「モメンタムに変化が生じ、現物市場に合わせて価格が安定するまでは、現在のボラティリティが保たれるだろう」
市場の過去最高に激しいこの時期に終止符を打つのは、世界の需要の確かな回復だけかもしれない。
昨年3月には、取引日の終わりから次の取引日までの価格変動が湾岸戦争以来の大きさを記録しており、現在の値幅は11月以来最大となっている。
インディアナ州にあるノートルダム大学の財政学教授であるジアンナ・バーンは、「今回の異なる点は、消費者の需要や商業的な需要が大幅に減少したことだ」と述べる。
「パンデミックの影響が続く限り、価格の変動は続くだろう」
ロイター