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アジア・中東におけるエネルギー転換、エネルギー安全保障、地政学的競争の結びつきは、日本にとって以前にも増して重大なものになっていると、日本を牽引するエネルギー経済学者が最近のシンポジウムで発表した。
日本エネルギー経済研究所(IEEJ)の主任研究員である小林周博士は、Trends Research & Advisory主催のインターネットシンポジウム「エネルギーと持続可能性の未来」で、化石燃料の新技術や未来に関する日本とアジアの見通しを語った。
小林は、化石燃料がアジアにとって長期的問題となり、アジアにおける原油の需要が2050年には2020年と比較して推定2倍になるだろうと述べた。中東のみが強大で安定した供給元となりうる。
「それにも関わらず、中東の地政学的不確実性によって、日本とアジアのエネルギー安全保障がますます脅かされている。なぜなら、日本とアジアは、中東地域からの石油・ガスの供給に大きく依存しているからだ」と彼は述べた。
日本は新しいエネルギー技術の開発に力を注いでいて、民間部門に関わる初の水素・燃料電池戦略を2014年に発表したと彼は述べた。
「近年では、資源豊かな国々との関係を強化することによって、国際的な水素サプライチェーンを構築することに焦点を当てている。そのため、日本は中東を含む石油・ガス産出国との協調を加速し、化石燃料を輸入するのみならず、未来の水素社会をリードしてもいる」と小林は述べた。
小林はまた、国を超えた結びつきがゆくゆくは重要になるだろうと述べた。「日本は地理的に孤立しているから独自の敷設網を発展させなくてはならないが、アジア、中東、あるいはラテンアメリカに目をやれば、国を超えた敷設網と他のエネルギーネットワークのための多くの機会がある」と彼は述べた。
しかしながら、彼はまた、国際政治がその達成を阻んでいる可能性があると指摘した。日本のエネルギー政策は3E+S(エネルギー安全保障、 経済の効率性、 環境、 安全性)の不均衡に悪戦苦闘してきたと小林は述べた。
「日本のエネルギー自給率は10%ほどで、OECD加盟国の中では2番目に低いが、それは2011年の東日本大震災と津波の後でほとんどの原子力発電所が発電を停止し、原油、天然ガス、石炭を含む最も多くの化石燃料を輸入しているからである」と彼は述べた。
こうした理由から、日本は再生可能エネルギーと省エネルギー技術の開発に指導力を発揮し、温室効果ガス排出を削減してきた。