
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の主力部門である三菱UFJ銀行の最高責任者は、石炭火力発電所への融資について、外部からの重圧により厳格化はしたものの、完全に融資を停止することはない、と言明した。
競合する他行と同様、日本最大の融資元である三菱UFJ銀行は、石炭関連業界との関係をめぐり、世界の投資家や環境団体からのさらなる重圧にさらされている。ロイター通信が閲覧した資料によると、先月には、MUFGに対し、同行の事業と2015年のパリ協定との整合性のとり方について説明を求める株主提案があった。
ロイターの既報の通り、同行より規模の小さい競合相手である三井住友フィナンシャルグループは、石炭火力発電所に対する新規融資を例外なく停止することを検討している。
しかし、三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取は、3月26日に行われたロイターとのインタビューの中で、将来的に環境により配慮した事業内容になる可能性のある“移行プロジェクト”への融資を断念することには乗り気ではない、と述べていた。このインタビューは、今月9日まで公表を差し止められていた。
「現実的には、日本のエネルギー状況を考慮すると、すべての移行プロジェクトへの融資を排除することは非常に難しいだろう」。半沢氏はこのよう述べた。
パリ協定の下で二酸化炭素の排出量を減らすとの公約にもかかわらず、石炭はなお日本の主力エネルギー源となっている。経済産業省の高官は2020年に、石炭がエネルギーの供給配分量の約3分の1を占めていると述べていた。
同行は既に、原則として新たな石炭火力発電所への融資は行わないと述べていたが、石炭をより効率的に燃やす新しいタイプの発電所などについては例外としていた。
半沢氏は、今月中にも発表される可能性がある新たな融資方針では、同行はそうした例外的融資を絞り込む見通しだと述べたが、その例を示すことはなかった。
また、同氏は、同行が石炭事業への新たな融資を検討する場合には、二酸化炭素排出量を結果的に減らすことにつながるプロジェクトに対する融資になるだろうと述べた。
「我々は、そのような例外により当行の方針が生ぬるいものに見えているとの声を耳にしている。このため、そうした状況を変えるための協議に入っているところだ」と、同氏は述べた。
ロイター