
ソフトバンクグループ(SBG)が12日発表した2021年3月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が4兆9879億円に達した。日本企業の利益として過去最高。世界的な株価の上昇で投資先の海外新興企業の評価が上がり、傘下ファンドを通じた投資利益が膨らんだ。
孫正義会長兼社長は12日の記者会見で「人工知能(AI)は産業を革新していく」と述べ、自動運転や先端半導体などAI関連事業への投資に意欲を見せた。また、21年の投資先企業の新規上場数は前年を上回る規模になるとの見方を示した。
新型コロナウイルス感染拡大で経営環境が悪化した20年3月期の純損益は9615億円の赤字だった。国際的なデジタル化の流れやコロナ収束後の経済回復をにらんだ投資事業が好調で、業績は急激に回復。純利益は、トヨタ自動車が18年3月期に計上した2兆4939億円を大きく上回り、世界1位の米アップル(6兆円強)に迫る水準となった。
2本ある中核ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の損益は6兆2920億円の黒字(前期は1兆8448億円の赤字)。米料理宅配サービスのドアダッシュや韓国インターネット通販大手クーパンが上場し、保有株の評価益が拡大した。SBG本体の投資損益は米携帯電話大手TモバイルUS株の売却益などで9459億円の黒字(同4843億円の黒字)だった。
売上高は前期比7.4%増の5兆6281億円。携帯子会社ソフトバンクの業績が好調だった。
SBGはコロナ感染拡大で世界的に株安となった20年3月に総額4.5兆円の資産譲渡計画を発表した。同9月末までに5.6兆円の売却を完了し、傘下の英半導体設計大手アームの売却でも合意している。
JIJI Press