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オミクロンが全世界的な無料のワクチン接種を推進する必要性を明らかに

オミクロン変異株が野火のように世界中に広がるにつれて、全世界的なワクチン接種を推進すべきであることが明らかになっている。(AFP)
オミクロン変異株が野火のように世界中に広がるにつれて、全世界的なワクチン接種を推進すべきであることが明らかになっている。(AFP)
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06 Jan 2022 02:01:59 GMT9

最近、ロンドンを訪れる機会があったが、この都市が英国の新型コロナウイルス感染症の中心地になっているにもかかわらず、新たなオミクロン変異株の急速な感染拡大と闘うためのより厳格な措置の採用に今も乗り気でない事情が理解できた。クリスマス休暇の期間中(12月21日から1月3日まで)、欧州では数百万人の新規感染者と数千人の死亡者が出たため、欧州諸国の多くが、厳格な渡航規制など、この疾患への防御態勢を強化した。EUの2大国であるドイツとフランスは、英国との往来を禁止した。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドもウイルスの感染拡大を抑えるためにより厳格なガイドラインを採用した。

しかし、英国を構成する最大の地域(あるいは「国」)であるイングランドと、人口が最大の都市ロンドンは、超然としたままだ。休暇期間中に、イングランドでは約170万人の新型コロナウイルス感染者とほぼ1,500人の死亡者が報告された。さしあたり、当局は他の欧州諸国や英国の他の地域が採用したものに匹敵するような新たな措置をいっさい排除している。1月3日にボリス・ジョンソン首相は、オミクロン変異株と闘うための新たな措置はまだ必要ないと発言している。「国全体として採るべき進路は、現在の歩みをそのまま続けることだ」。そして、次のように付け加えた。「もちろん、あらゆる措置を検討し続けるが、現時点で行っている政策ミックスは正しいと思う」

ロンドンのDNAには、起こりそうにない事態の実現を願うようにさせる何かがあるようで、実際、人々はパンデミックに対する勝利を期待している。ロンドンは、この2年間に新型コロナウイルス関連の面倒な規制が間欠的に繰り返されたために、闘いに疲弊したのかもしれない。

運命論的な感覚が広まったようだ。パブやレストランには人があふれ、マスクの着用は本人まかせのようだ。規制が実施され、細部に至るまで強制されているアラビア湾岸地域からの訪問者である筆者は、面食らった。当初は渡航の要件に感銘を受けていた。渡航前のPCR検査、到着後2日以内に2回目のPCR検査、到着の8日後に三回目のPCR検査が課されていた。英国への渡航者は事前に検査予約を入れておく必要があり、空港ではその予約情報を提示しなければならなかった。しかし、検査能力が限界に達したため、費用は大幅に値上げされ、1回約300ポンド(405ドル)になった。費用が高騰し、評判のよい施設の能力も限られていたことで、信頼性に劣る検査が行われるようになった。

同様に、会議への出席者は、抗原検査を毎日受けることを求められた。検査キットは無料で提供され、自分で行うものだったが、こちらも誤用の恐れがあった。こうした抜け穴が、最新の変異株が激しい勢いでロンドンに入り込んで来る前の時期の間違った安心感につながった可能性がある。

ロンドンには疾病と戦ってきた長い歴史があるが、常に成功を収めてきたわけではない。歴史家のピーター・アクロイド氏によると、ロンドンでは常に伝染病が発生し、死の波が押し寄せていたという。アクロイド氏は、大著『ロンドン – 伝記(仮題)』(London: The Biography)の中で、「ロンドンは破滅を永遠に運命づけられている都市だ」と記述している。1348年の黒死病では、人口の4割が亡くなった。その後1563年から、ロンドンを荒廃させた1666年の大疫病までの間に少なくとも7回、激しい疫病に襲われた。

 

世界全体で数十億人ものワクチン未接種者が存在するかぎり、パンデミックは続く

アブデル・アジーズ・アルウェイシグ

 

『ロビンソン・クルーソー』の著者ダニエル・デフォーはロンドンに非常に精通していたが、大疫病の際に熱病と神経質な恐怖によってこの都市が引き裂かれたありさまを、「まさに絶望の淵に沈んだ」と記述している。公共の場での集会は禁止され、人々は自宅に留め置かれ、なかには物理的に閉じ込められた者もおり、通りには本物の狂気が見られた。

スコットランドの作家ジェイムズ・ボズウェルは、1762年にロンドンにやってきた際に、「私は神経熱にかかろうとしているのではないかと心配し始めた。前回ロンドンを訪れた際にそのような症状が出た後に神経熱にかかったので、この推定はあり得ないものではなかった。酷く心が沈んだ」と嘆いている。

1918年6月から1919年4月までの間に、ロンドンはスペイン風邪の波に3回襲われた。英国全体の死亡者数は22万8千人だったが、うちロンドン市民は1万8千人以上に上った。この時のウイルスは特に若年成人を標的にした。

公式データで、昨年のクリスマスイブに英国の新型コロナウイルスの新規感染者数は122,186人で、前日の119,789人から増加し、新規感染者数10万人以上の日は3日目になった。英国ではパンデミックの開始以来クリスマスまでに約14万8千人が死亡し、欧州で最も多い。

ロンドン単独で、クリスマスイブに全区併せて新規感染者数は26,142人、死亡者数は25人であり、英国全体の20パーセント以上を占めた。保健専門家の推定では、ロンドン市民の約10パーセントが既に感染していた。その後、休暇期間中にオミクロン変異株がロンドンを激しく襲ったため、数値は劇的に増加した。数十カ国が、緊急の人道問題を除いて、英国との往来を禁止した。

少なくともしばらくの間は、英国は新型コロナウイルス感染症のホットスポットであり続ける運命にあるようだ。ワクチン接種率の上昇がもたらす免疫に依拠するという賭けが、中長期的にうまくいくかどうかはまだ明らかではない。

しかし、世界全体で数十億人ものワクチン未接種者が存在するかぎり、パンデミックは続き、ウイルスは変異し続けて次々と健康危機を引き起こす。ロンドンも例外ではない。まさしくロンドンは世界中から旅行者を引き寄せ、旅行者は必然的に変異株を持ち込むことになる。

ニューヨーク・タイムズ紙の新型コロナウイルス・ワクチン接種トラッカーによると、世界人口の約51パーセントが「ワクチン接種を完了」、すなわち2回以上接種を受けている。しかし、ワクチン接種率は均一ではない。多くの国で今も10パーセント以下であり、2パーセント以下の国も多い。英国、欧州やその他の国々には、ワクチンや新型コロナウイルス関連の規制に積極的に反対して声高な主張をする少数グループが存在し、そのために感染拡大を抑え込もうとする当局の取り組みが失敗している。

オミクロン変異株が野火のように世界中に広がるにつれて、「すべての人に無料でワクチン接種を」という世界保健機構の緊急の呼びかけを心に留めて、全世界的なワクチン接種を推進すべきであることが明らかになっている。

  • アブデル・アジーズ・アルウェイシグ博士は湾岸協力会議政治問題・交渉担当事務次長で、アラブニュースのコラムニスト。本記事で表明した見解は個人的なものであり、湾岸協力会議の見解を必ずしも代表するものではない。ツイッター:@abuhamad1
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