
ロイター 東京
パナソニックは、赤字の半導体事業を台湾のヌヴォトン・テクノロジーに2億5,000万ドルで売却すると発表した。エレクトロニクスの大企業であるパナソニックは、成長の原動力となる存在がなく、利益を高めるのに苦労している。
この売却は、2022年3月までに、生産拠点の統合と赤字事業の精査により1,000億円(9億2,000万ドル)の固定費を削減する同社の計画の一環として行われるものだ。パナソニックは、機敏な韓国や台湾のライバル企業より劣位にあったため、すでに半導体事業のほとんどを売却しており、製造施設については、閉鎖したり、イスラエルのタワーセミコンダクターとの合弁事業(JV)へと移行させたりしている。
パナソニックの半導体事業は現在、スマートフォン、自動車、監視カメラ向けの電源管理チップおよびセンサーの設計に注力している。今月には、日本のロームに電源管理チップ事業の一部を売却している。
最近の取引には、タワー社が51%、パナソニックのチップ事業が49%を出資するJV全体の売却がある。このJVは、日本に半導体製造施設を3つ所有している。
パナソニックは、この売却により事業収益に大きな影響を及ぼすことはないと発表した。同社が発表した取引額には、合弁事業におけるタワーセミコンダクターの株式をヌヴォトンが買い取るために支払う額は含まれていない。
ヌヴォトンは声明で、全額現金による取引は、2020年6月までに完了する見込みで、この取引により、「規模および半導体ソリューションの量の増大により、世界の半導体業界におけるヌヴォトンの存在感が増す」とした。
ヌヴォトンは、2008年にウィンボンド・エレクトロニクスから独立し、コンピューターおよびオーディオ製品を含む電子機器向けのチップを供給している。
パナソニックは、利益の少ない家庭用電化製品に注力するのをやめ、自動車メーカーや、工場所有者、プロセスの自動化に関わる企業などに販売する事業に軸足を移している。
しかし、米国と中国による貿易戦争が産業界での購入、生産高に影響を与え、世界の自動車市場が縮小しているこの時期に、利益を増大させることはできていない。