Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • 米国務長官、中東歴訪を終えるも、暴力を終わらせるための取組に打開策を見いだせず

米国務長官、中東歴訪を終えるも、暴力を終わらせるための取組に打開策を見いだせず

2023年1月31日、占領下のヨルダン川西岸地区のラマッラーにて、アントニー・ブリンケン米国務長官を歓迎するパレスチナのマフムード・アッバス大統領(AFP)
2023年1月31日、占領下のヨルダン川西岸地区のラマッラーにて、アントニー・ブリンケン米国務長官を歓迎するパレスチナのマフムード・アッバス大統領(AFP)
Short Url:
01 Feb 2023 12:02:58 GMT9
01 Feb 2023 12:02:58 GMT9
  • ブリンケン米国務長官はアッバス大統領と会談したが、最近の情勢の激化を止めるというささやかな目標にさえ進展の兆しはなかった
  • ファタハのリーダーであるマフムード・アル・アルール氏は、パレスチナの指導者であるアッバス大統領はもはや米国の政策を信頼していないと述べた

モハメド・ナジブ

ラマッラー:1月31日に2日間の訪問を終えたアントニー・ブリンケン米国務長官は、この間イスラエルとイスラエル占領下のヨルダン川西岸地区を訪れ、ラマッラーにてパレスチナのマフムード・アッバス大統領と会談し、緊張緩和を求めたが、これを実現するための米国の新たな取り組みは提示されなかった。

最近の暴力の連鎖を食い止めるというささやかな目標ですら進展は見られず、和平交渉の可能性をめぐるより幅広い問題の対処には遠く及ばなかった。

アッバス大統領は、暴力の急増の責任はすべてイスラエルにあるとし、国際社会がイスラエル当局にさらなる圧力をかけていないと激しく非難した。

ブリンケン国務長官と1月29日にアッバス大統領と会談したウィリアム バーンズCIA長官の両者はアッバス大統領に対し、パレスチナ人の武装集団への対策をし、イスラエルへの暴力の度合いを下げるよう促した。

ブリンケン長官は、パレスチナ人がエルサレムのシナゴーグの外で7人を射殺した先週の事件後、パレスチナとイスラエルの双方に冷静さを求めたが、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区ではイスラエル軍と入植者の行動に対しパレスチナ人の間で怒りが収まらない。

ブリンケン長官はアッバス大統領との会談でも同様の呼びかけを行い、イスラエルと共存するパレスチナの独立国家樹立というニ国家解決を脅かすような活動をしないよう、あらゆる当事者に対して警鐘を鳴らした。

ブリンケン長官は、二国家解決への障壁を作り出していると米国がみなしているイスラエルの活動を非難した。特に、「入植地の拡大、(入植地の)前哨部隊の合法化、取り壊しや立ち退き、聖地の歴史的地位の崩壊、そしてもちろん暴力の扇動や黙認」といったイスラエルの活動を非難した。

ブリンケン長官はアッバス大統領との会談後、米国が国連を通じて5000万ドルの追加資金を提供すると述べ、パレスチナ人向けに4Gの通信サービスを提供することでイスラエル政府と合意に達したと発表した。

アッバス大統領は、「署名した協定や国際法に違反するイスラエルの一方的な措置を完全に停止」するよう求めた。アッバス大統領は、イスラエルによるパレスチナ領土の占領を終わらせるよう、パレスチナ人の長年の要求を繰り返した。

「現在我々には、東エルサレムを首都とする1967年の国境にあるパレスチナ国領土のイスラエルによる占領を終わらせるために、米政府や国際社会と協力して、政治的対話を回復する用意がある」と述べた。

「パレスチナの人々が国際的な場や法廷で自らの存在と正当な権利を守ろうとする取り組みに反対し続けていることは、イスラエルという占領側がさらに多くの犯罪を犯すことを助長し、国際法に違反する政策である。」

「パレスチナ人が永遠に占領の継続を受け入れることはなく、聖地の神聖さを侵害し、パレスチナ人の尊厳を踏みにじり、自由、尊厳、独立に対する正当な権利を無視することによって、地域の安全が強化されることはない。」

パレスチナ指導部はブリンケン長官に対し、平穏を取り戻すには、イスラエルによる一方的な措置、ヨルダン川西岸地区での入植地建設、そしてイスラエル軍によるパレスチナの町への侵攻のいずれも停止し、イスラエル入植者がヨルダン川西岸地区のパレスチナ人に攻撃や暴力を加えないようにしなければならないと述べた。

また、パレスチナはイスラエルに対し、差し引いたパレスチナ自治政府の税収を公開し、紛争解決のための政治的展望を提供するよう要求している。

パレスチナ高官筋によると、米国がパレスチナの要求を理解し支援すれば、さらなる激化を防いで信頼関係を築き、ジェニンでパレスチナ人9人が殺害された後、1月26日に中断されたイスラエルとの治安協力を再開するよう、アッバス大統領を説得できるかもしれないという。

ファタハの指導者であるマフムード・アル・アルール氏は、米国はイスラエルの占領の保護と支援にしか関心がないと見なされているため、パレスチナ指導部はもはや米国の政策に信頼も希望も持っていないと述べた。

アルール氏は、パレスチナが「最近激化している占領地とその入植者の犯罪や攻撃」に立ち向かうことを決定した後に、ブリンケン長官の訪問が実施されたと付け加えた。

政治アナリストのマジディ・ハラビ氏はアラブニュースに対し、ブリンケン長官の訪問は、事態の沈静化、パレスチナ人とイスラエル人の間の緊張緩和の取り組みに寄与するという理由で極めて重要であると述べた。

「アッバス大統領は、イスラエルを標的にしたパレスチナ人による個々の攻撃を防ぐことはできない」とハラビ氏は述べた。「ライオンズ・デンの集団については、アッバス大統領が率いるファタハ組織の人員が含まれているため、影響を及ぼすことができる。」

ハラビ氏はまた、米国はイスラエルに圧力をかけて、ヨルダン川西岸地区とエルサレムにあるパレスチナ人の住居の取り壊しを止めさせ、パレスチナ人の逮捕数を減らし、入植地の拡大を制限することができると付け加えた。イスラエルはイランに対抗するためには、米国の資金援助や支援が必要であるため、米政府がやる気になれば、イスラエルに圧力をかけることができる、と同氏は述べた。

パレスチナ人政治アナリスト、ナビル・アムル氏は、米国にはパレスチナとイスラエルの双方に助言し、冷静さと二国家解決の維持の必要性について協議することしかできないと述べた。その一方で、「パレスチナ側へ必ず圧力がかかる」と付け加えた。

アムル氏は、米政府は「もはやイスラエル政府に影響を及ぼすことができず、イスラエル政府も米政府に耳を傾けることもなく、米国の支援を利用して対パレスチナの戦いを激化させる」と、アムル氏は述べた。

米政府は「イスラエル人に対する個々の攻撃を阻止するなど、パレスチナ人が受け入れたとしても実現できない要求をしている。先日イスラエル人を標的にした攻撃は、パレスチナの組織とは関係がない、個人によるものだった。このような場合、パレスチナ自治政府がどのような形で防ぐことができるのか」と、疑問を投げかけた。

アムル氏は、紛争に関する現在の米国の政策を強く非難し、「政治的視点を持たずに危機を管理している」と説明した。

特に人気
オススメ

return to top