
マット・スミス
アンマン:頑固な副鼻腔炎に業を煮やしたヨルダンの起業家が、環境に優しいドライクリーニングサービスを立ち上げた。危険な化学物質の広範な使用を終わらせるのに役立つと期待される。
「ドライクリーニング」という呼び名にはいささか誤りがある。実際にはドライではないからだ。プロセスに水が関与していないことは確かだが、主な洗浄剤はパークロロエチレン(PERC)という化学物質だ。専門家によって、がんのほかにも脳や神経系の損傷を引き起こす可能性が高いと考えられている物質である。
カメル・アルマーニ氏(33歳)が副鼻腔炎に悩まされ始めたのは、自分が共同創業した医療機器のスタートアップであるEon Alignerで地域営業部長として働いていたときだった。当時、アルマーニ氏はこうした危険性についてほとんど何も知らなかった。
休暇に出ると問題は消えたので、氏はそれがストレス関連の問題なのだろうと思っていた。
しかし、化学技術者のマゼン・ダルウィーシュ氏からエコランドリーを始めたいと告げられ、従来型のドライクリーニングで使用される有毒化学物質について警告されると、アルマーニ氏にはあることがひらめいた。
「マゼンはPERCが呼吸器系にどんな影響を与えるかを話し始めました。そのとき突然、副鼻腔炎の原因は、自分が仕事用に着てドライクリーニングに出していたスーツだったのではと気付いたのです」 と、アンマンに拠点を置くWashyWashの創設者であるアルマーニ氏は語った。
「これだ!と思いました。私たちはすぐにでもビジネスを立ち上げたいと思いました」
WashyWashは2018年初頭に、アルマーニ氏、ダルウィーシュ氏、Kayed Qunibi氏の3人の共同創業者を含む5人のスタッフで業務を開始した。同社は現在19人の従業員を抱え、今年7月にはキャッシュフローがプラスになった。
「2年も経たずにそれを達成できたことを大変うれしく思っています」とアルマーニ氏は言った。
同サービスでは、無毒認定を受け、生分解性で空気や水、土壌の汚染を引き起こさないEcoClean製品を使用している。
注文には、同社技術チームによる自社製アプリを使う。
WashyWashは、顧客の汚れた衣服を集配し、洗濯し、アイロンがけをして返す。サービスの範囲は、標準的な洗濯+たたみ仕上げから、各衣類専用のドライクリーニング、そしてカーペット、カーテン、羽毛布団、革製品のクリーニングに及ぶ。
「ウェットクリーニングには生分解性の環境に優しい洗剤を使用していますので、廃水には有害な化学物質が含まれていません」とアルマニ氏は言った。
ドライクリーニングの場合は、WashyWashはドイツのSeitz社製の改質炭化水素を使用する。Seitz社の製品は発がん性がなく、カーボンニュートラルとされる。
廃棄物は専門会社によって回収され、安全に処分される。
同社には大きな野望がある。国内事業の拡大と国際展開を計画しているのだ。アンマンのサービス拠点では1日に約1,000点の注文を処理できるが、WashyWashは2020年半ばにより大規模な施設に移転を決めていることから、処理能力は現在の3倍となるはずだ。
「当社では全ファシリティ・マネジメント・システムに加え、フロントエンドアプリ、バックエンドシステム、そしてドライバーアプリを構築しました。当社ではこれをフランチャイズ化する計画を立てており、多くの国々からご関心をいただいています」とアルマニ氏は言った。
「アンマンを訪れた方々が当社のサービスをご利用になり、気に入ったので自分の国で立ち上げる機会はないか、と要望されているのです」
WashyWashはエンジェル投資家からの資金援助を受け、当初はヨーロッパの主要都市を狙う。
「環境に優しい、オンデマンドのドライクリーニングアプリは世界中で利用できるアプリではありませんから、適した市場はロンドンやパリ、フランクフルトではないかと思います」とアルマニ氏は語った。
JIJI Press