
リッチモンド、バージニア州:テック巨人企業のアップルは火曜、世界で最も悪名高い職業ハッカー企業NSOグループがiPhoneなどのアップル製品への侵入を防ぐため、イスラエルの同社を訴えたと発表した。
アップルは、カリフォルニア州の連邦裁判所に提出された訴状の中で、NSOグループの従業員は「道徳心がない21世紀の傭兵で、日常的に目に余る不正使用を招く高度に洗練されたサイバー監視装置を作成した」と述べた。「ペガサス」と呼ばれるNSOグループのスパイウェアは、世界中の同社顧客の少数に対して使用されていたと言う。
「NSOグループのような国がスポンサーの集団は、効力ある説明責任義務なしで洗練された監視技術に数百万ドルを費やしている。こういったことは変えなければならない」と同社ソフトウェアエンジニアリング部門のクレイグ・フェデリギ上級副社長は語った。
NSOグループは、不正全般を否定し、同社製品は人命を救うため政府により使用されてきたと語った。
「小児性愛者やテロリストは、技術的に安全な避難場所の中で自由に活動できる。NSOグループはそれと戦うための合法的ツールを政府に提供している。我々は真実を擁護し続ける」と声明の中で同社は述べた。
これは同社に取って最新の一撃だ。同社は最近、米商務省からブラックリストに指定され、現在、ソーシャルメディアの巨大企業Facebookから訴えられている。
セキュリティ研究者は、ペガサスが人権活動家、ジャーナリスト、さらにはカトリック僧侶のメンバーの携帯電話に侵入するため、世界中で使われたことを突き止めた。
ペガサスは携帯電話に侵入し、個人データと位置データを吸い出し、ひそかにスマートフォンのマイクとカメラを制御する。研究者は、「ゼロクリック」と呼ぶ脆弱性を利用するNGOグループのツール数例を発見している。これは、ユーザーが何の操作をしなくても標的となった携帯電話に感染する。
バイデン政権は今月、NSOグループと別のイスラエルのサイバーセキュリティ会社カンディルが「エンティティリスト」に加えられたと発表した。このリストは、輸出のためには政府許可を必要にすることで、米国製部品と技術の入手を制限するものだ。
また今月、セキュリティ研究者は、ペガサスがパレスチナ人権活動家6人の携帯電話で検出されたと暴露した。メキシコの検察官らは最近、ジャーナリストをスパイするためペガサスを使用した容疑でビジネスマンを逮捕したと発表した。
Facebookは、世界中で人気の暗号化メッセージングアプリWhatsApp経由で侵入したと主張するやや類似した脆弱性の利用でNSOグループを訴えている。米連邦控訴裁判所は今月、訴訟を取り消すNSOグループによる取り組みを却下する判断を行った。
また、アップル社は火曜、1,000万ドルおよびNSOグループ訴訟で勝ち取った損害賠償金をサイバー監視研究者と賛同者に寄付していると発表した。
AP