
ジョージ・チャールズ・ダーレイ
過去1世紀の大半を石油に依存してきたサウジアラビアがより多様な経済への移行を進めている。先月のCOP26サミットでの決断や「ビジョン2030」から始まった傾向だ。
アラムコやSABICなどの大企業が経済を支配し続ける一方で、若者の起業が増え、冒険的な企業カルチャーが定着しつつある。
そして、世界で持たれているイメージに反して、この新しい時代に重要な役割を果たしているのがサウジアラビアの女性だ。
ロンドンを拠点に世界の新興企業を追跡するデータグループのグローバル・アントレプレナーシップ・モニター(GEM)の先月の報告によると、サウジアラビアの女性の17.7%以上が2020年に事業を開始または経営している。これはビジネスに参入する女性の数の世界平均11%と比べてかなり高い。
この報告には、サウジアラビアの女性の30%以上が今後3年以内に事業を始める意思があることも指摘されている。そして、男性と比較して女性は「その意思のとおりに行動する可能性が高い」という。
GEMは、これらの動きを支えているのは「サウジアラビアの女性起業家支援を目的とした最近の政府の政策と介入」だと述べている。
香水製造チェーンNSHQのオーナー、ヌーフ・アル・カフタニ氏はその代表例だ。アル・カフタニ氏は、まず2005年に自身の香水コレクションの再梱包と再販を行う事業を始めた。
そのスタートアップで、彼女はクウェートのスーク出店者からフランスとイタリアのエッセンシャルオイル販売業者になった。また、スルタン王子基金の融資30万サウジ・リヤル(8万ドル)で2015年にアル・コバールで最初の店舗を開いた。
現在、アル・カフタニ氏はアル・コバールとリヤドで香水ブティック3店舗を経営し、14人のスタッフを抱えている。4番目の店舗も開店予定だ。
「今ではサウジの女性はかなりビジネスを始めやすくなっています」とアル・カフタニ氏はアラブニュースに語った。
「私が起業したとき、サウジアラビアのビジネスマンの多くは独身女性とは話もしようとしませんでした。『父親か兄弟を連れてこい。話はそれからだ』と言われたものです」
「でも今ではサウジの女性はもっと力をつけています。互いに励まし合っています。また、サウジアラビアの男性の考え方も変わりました。事業を始めるときに女性のパートナーを望むようになったのです。なぜだか分かりますか? 男性よりもよく働くからです。能力を認めてもらおうと最善を尽くしますし、男性よりも能率的です」
アル・カフタニ氏によると、このカルチャーの変化に最も寄与したのはムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下が導入した改革だという。
彼女は言う。「サウジアラビア国民、特に女性に自分自身と国民としてのアイデンティティを信じさせる皇太子殿下のやり方はとてもいいと思います。サウジの消費者は、かつては輸入品しか欲しがりませんでした。今では、当社を含め、地元の製造業に本当に関心を持っています」
アイスクリーム店チェーンのナインソフトサーブのオーナー、アビール・アル・ハシム氏も、ほぼゼロから始めて、大きな事業に発展させていった女性のひとりだ。
2018年に国内の東部州でアル・コバールを拠点に移動ユニット1店舗からスタートし、現在、リヤドに4カ所、アル・コバールに2カ所、合計6カ所で小売店を経営している。
アル・ハシム氏は、サウジアラビアの女性起業家にとって環境は急速に改善していることに同意した。
彼女は言う。「5年前ですら、女性が自立して独立した企業を経営することは非常に難しかったです」
「商業のプロセス全体が、特に事務的な申請が簡単になりました。とてもシンプルに政府とオンラインでやりとりできますし、女性も話をする際に代理の男性を立てる必要がなくなりました」
アル・ハシム氏は最近モンシャート(「中小企業のための包括当局」)からアプローチを受け、彼女の商品はフランチャイズ向きだと言われた。その後、フランチャイズのコンサルタントとの連携など、国内外に事業を拡大するための助言やリソースが提供された。
これはサウジアラビア政府の新しい積極的アプローチの事例である。サウジアラビアでビジネスを始める人を待ち受けていた煩雑な「お役所仕事」や時間のかかり過ぎる手続きからの大転換だ。
「こんなにたくさんの公的支援を受けることができるのです」と、アル・ハシム氏は言った。「私がとても自慢に思っていることです」
2012年に、ジェッダを拠点に言語障害を持つ子どもたちのためのランゲージ&ラーニング・スティミュレーションセンターを設立したとき、ラナ・ミルザ氏は相次ぐ困難に直面した。彼女は、サウジアラビアの女性のスタートアップ創業者が今では当然のように受けている恩恵を自分も享受したかったと言う。
「いろいろな役所で事務処理を進めるために男性にお金を払わなければなりませんでしたが、今ではすべて自分でできます。そして政府の電子サービスのおかげで時間とエネルギーをかなり節約できます。もう実際に事務所を訪れなくていいからです。全部オンラインで済みます」
これはミルザ氏にとって大事なポイントだ。40人の従業員を擁するセンターでは、さまざまな言語的・心理的治療を提供するために数多くの公的免許が必要だからだ。
このビジネスウーマンたちには、新たにスタートアップを始めようとしている他の女性たちにはっきりと伝えたいことがある。
「自分を信じなさいとアドバイスしたいです」と、アル・カフタニ氏は言った。「彼女が自分を信じれば、他の人たちも彼女を信じるでしょう」
アル・ハシム氏は言う。「熱意がなければ何も始められません。自分のしていることに熱意を感じないなら、時間を無駄にしているのと同じです」
ミルザ氏の助言はもっと具体的だ。「マネジメント、品質管理、財務、顧客サービスの知識を身につけてください。ビジネスを始める前に。私は苦労してそれらを学びました。ビジネスを左右するのは熱意だけではなく、ノウハウだからです」
この3人の起業家全員が、サウジアラビアにおける冒険的な企業カルチャーの出現を活かす重要なチャンスが男性・女性を問わず、すべての人に開かれているという事実を証明している。