
メルボルン:褐炭から水素を製造する日豪のベンチャー企業は、金曜日、世界初の液化水素運搬船に、最初の貨物を積み込み始めることになっている。新型コロナウイルスのパンデミックにより1年近く先延ばしになったテストのためだ。
日本の川崎重工業(KHI)が建造した「すいそ ふろんてぃあ」は、今週、悪天候と荒波をかわしながらの予定よりも長い16日間の航海の末に神戸からオーストラリアに到着したと、水素エネルギーサプライチェーン(HESC)ベンチャーの広報担当者は発表した。同船は、一週間ほどで日本に戻る予定。
HESCは、日本とオーストラリアが共同で5億豪ドル(3億6千万ドル)を出資するKHI主導のプロジェクトで、クリーンエネルギーへの移行と二酸化炭素排出量削減のために石炭から水素を製造することを目指している。
水素は、石炭、ガス、石油に依存する産業を脱炭素化する道だと考えられており、2050年までにネットゼロエミッションを達成するという日本の目標において非常に重要な物質だ。オーストラリアは水素の主要輸出国になることを目指している。
オーストラリア政府は金曜日、HESCの1億8400万豪ドルの商業化前段階に、さらに750万豪ドルを追加、また、カーボンニュートラルな製品製造における石炭から水素への変換過程で放出される二酸化炭素の回収・貯蔵プロジェクトのテストに2000万豪ドルを拠出することを約束した。
HESC社は昨年、メルボルンから東に約135km離れたラトローブバレーで、1日70kgの褐炭からの水素抽出を開始した。ラトローブバレーは褐炭炭鉱があり、長い間、オーストラリアで最も空気汚染量の多い発電所に燃料を提供してきた。
水素は、石炭に酸素と蒸気を加え、高熱・高圧で反応させることで発生する。その後、トラックで港に運び、-253℃まで冷却して液化し、輸出される。
プロジェクトは、年間最大225,000トンの水素製造を視野に入れている。
オーストラリアはカーボンニュートラルな水素の製造において中東などの国々と競争しており、両国は2025年までに投資についての最終決定をする必要があると、HESCのパートナー企業の1つであるJ-Power社のジェレミー・ストーン氏は述べた。
このプロジェクトには、日本の電源開発株式会社、岩谷産業株式会社、丸紅株式会社、住友商事株式会社、そして褐炭を供給するための炭鉱を所有するオーストラリアのAGL Energy Ltd.がパートナーとして参加している。
ロイター