28日の東京外国為替市場で円相場が急落し、一時1ドル=124円02銭と6年7カ月ぶりに124円台を付けた。日銀が国債を無制限に一定期間買い続ける「連続指し値オペ」の実施を通知し、長期金利の上昇を強くけん制したことが背景。インフレが進行する米国の利上げ姿勢が鮮明になる中、日米の金利差拡大から円売り・ドル買いの動きが加速している。
午後5時現在は123円92~93銭と前週末比2円22銭の円安・ドル高。円安は輸出企業の収益を押し上げる半面、原油など原材料の輸入コストをさらに増大させるデメリットがある。日銀の黒田東彦総裁は「全体として経済にプラスに作用している」と説明するが、急速に進む円安への懸念も強まっている。
米国では連邦準備制度理事会(FRB)が3月に0.25%の利上げに乗り出し、ゼロ金利政策を解除。さらにパウエルFRB議長らが先行き0.5%の大幅利上げの可能性を示唆したこともあり、金利の上昇傾向が顕著となっている。
一方で日銀は28日、異例とも言える連続指し値オペの実施を通知し、現在の大規模金融緩和を堅持する方針を強く打ち出した。これを受け東京市場では金利が高くなるドルを買って、低い円を売る動きが一気に進んだ。
今後の円相場について、市場では「投機的な売買もあり一方的に円安が進むわけではないだろうが、当面は円が売られやすい状況が続く」(資産運用会社)との声が聞かれた。ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「想像以上に円安が進んでいる」とした上で、「資源高による家計への負担が(円安で)一段と増すなど悪い影響を懸念している」と指摘した。
時事通信