
日本企業の設備投資額は今年第1四半期(1~3月)、4期連続の前年同期比プラスとなった。新型コロナウイルスによるパンデミックとウクライナ紛争という不確実性を抱えながらも、好調な製造業に後押しされ、事業投資の回復力が裏付けられた格好だ。
堅調な事業支出により、日本政府は、資金力のある日本企業が設備投資を大きく増やし、国内需要主導の景気回復を促すとの期待を高める可能性がある。
財務省(MOF)が1日に発表したデータによると、今年第1四半期の設備投資額は前年同期比3.0%増となり、昨年第4四半期の4.3%に続いて増加を示した。この増加傾向は、新技術に投資しようとする輸送設備メーカーと、生産能力を増強するニーズを抱える金属メーカーが牽引した。
今回の設備投資額は、8日に発表予定の国内総生産(GDP)の修正値の算出にも使用される。一部のエコノミストは、下方修正を見込んでいる。
「特に製造業の設備投資は、手堅い需要に支えられて引き続き堅調だったが、サービス部門はパンデミックの影響を受けて低迷した。そのため、設備投資はまだGDPを押し上げるほど力強くはない」。農林中金総合研究所のチーフエコノミストの南武志(みなみ・たけし)氏はこのように述べた。
「日本人がウィズ・コロナ生活の考え方に慣れてきて、入国制限が緩和される中、サービス部門の事業やインバウンド観光は今後、活発化していく。これにより、徐々に資本支出が回復し、景気もいずれ拡大に向かうだろう」
予備データが示す通り、GDPで世界第3位の日本の経済は今年第1四半期に1.0%縮小した。新型コロナウイルスによる活動制限、供給網の混乱、原材料費の高騰が消費に影響を与えたためだ。日本経済はここ1年間で二度、四半期ベースの縮小傾向を記録しており、経済のぜい弱さを裏付けた格好だった。
多くのエコノミストが、日本経済は次の数四半期中に成長軌道に戻ると見込んでいた。しかし、ウクライナ危機とコロナ感染者数の再拡大リスクにより、V字回復への期待はしぼんできている。
MOFのデータをセクターごとにみると、製造部門の事業支出は前年同期比5.9%増となり、パンデミック前の水準に迫る勢いとなっている。一方、非製造部門の事業支出は同1.6%増で、依然としてパンデミック前の水準より低い状況だ。
企業の今年1~3月期の経常利益は、前年同期比13.7%増の22兆8,000億円(1,770億ドル)となり、第1四半期としては過去最高となった。今年1~3月期の売上高は同7.9%増だった。
「増収増益の決算ではあるが、供給の制限や原材料費の高騰のため、自動車や電機部門ではぜい弱さがみられる」。MOF幹部はこのように述べた。
「回復状況には部門ごとにばらつきがある。事業の規模や種類によって異なっている」
MOFのデータによると、今年第1四半期の設備投資額は、前四半期の3ヵ月間と比べて季節調整後で0.3%増だったことが示された。
ロイター