リヤド:ゴールドマン・サックスは12日、需要減退とドル高を予想して2023年の原油価格見通しを下方修正したが、世界的な供給不足が続いていることから、同社による長期的な価格上昇の見通しが強まっただけだと述べた。
ゴールドマンの商品調査部門は、来年の見通しを1バレル当たり平均17.5ドル引き下げた。2022年第4四半期と2023年に季節調整済みの世界石油市場が赤字になると見ている。
同社投資銀行部門が発表した調査ノートによると、2022年第4四半期から2023年第4四半期までの原油価格予測を平均でバレルあたり19ドル下方修正した。2023年の世界の石油需要の伸びについては、現在価格で従来予想の日量250万バレル(bpd)から200万bpdに減るとみている。
このノートでは次のように述べている。「成長見通しが慎重であっても、石油市場はまだ極めてタイトだ。在庫および石油輸出機構(OPEC)の供給余力が依然として過去最低水準にとどまっている一方、迫る米国の戦略石油備蓄の売却終了と今年後半のロシアの生産減少の間に、供給が再び増加する見込みとなっている」
ゴールドマンは、原油価格変動の短期的な道筋は不安定なままとなる可能性が高いとした上で、急激なドル高と需要期待の減退により、今年いっぱいは原油に下押し圧力がかかり続けるだろうと述べた。
同社は「原油価格がこれほど低い伸び率と予想されていることは驚きかもしれないが、これは今春の極端な価格変動によって石油市場への投資家が大量に流出したことを反映している」と述べている。
持続的な価格下落を正当化するには、経済のハードランディングと世界的な国内総生産の成長率の縮小が必要になる、とこのノートでは述べている。
26日に9ヵ月ぶりの安値をつけた原油価格は、ハリケーン「イアン」の影響による米メキシコ湾石油の供給抑制と、若干のドル安を背景に2%以上上昇した。
ゴールドマンは、OPECが今年中に生産枠を増やすとは考えておらず、2023年までは現在に近い水準で生産を安定させると見ている。
ロイター