
先駆的なUAEのスタートアップが中東の企業に対し、二酸化炭素排出量と光熱費の削減を支援している。
ドバイに拠点を置くイエロードア・エナジーは、企業の敷地内に特注のソーラー発電設備を建設している。
また、工場やオフィスタワー、倉庫、ショッピングモールなどに設置する設備のために、融資、設計、運営、保守管理も行う。
顧客は設備の発電開始後に毎月代金を支払い、10年または15年契約が終了すれば当該ソーラー発電設備は顧客のものとなる。
BOOT(建設-所有-運営-譲渡)またはリース・トゥ・オウン(賃貸後所有)として知られるイエロードア・エナジーの契約によって、顧客は電気代を40%以上削減することができる。
「物流倉庫など多くの電力を消費しない顧客のあらゆる電力ニーズに対し、屋根の上から対応することができます」と、イエロードア・エナジーのジェレミー・クレーン共同創業者兼CEOは言う。
「エネルギー集約型の工場など他の顧客に対しては、彼らのニーズの25~50%に貢献することができるでしょう」
クレーン氏は以前、ドバイのベンチャーキャピタル兼プライベートエクイティ企業アデニウム・エナジー・キャピタルの最高執行責任者を務めていた。
企業の電力ニーズを満たすソーラー発電の可能性を確信するクレーン氏は、アデニウム社を説得してイエロードア・エナジーの創業時投資家になってもらい、2015年にこのベンチャー企業を共同で創業した。
通常、このスタートアップは企業の敷地内の屋根や駐車場にソーラー発電設備を建設し、必要とされる電力を現地で作り出す。
ヨルダンの規制では、民間の発電設備運営者が1ヶ所で電力を生成し、別の場所で消費することが可能である。
UAEやその他のほとんどの中東諸国においては、公益事業会社と無関係のソーラー発電設備は電力を使用する場所でしか発電を行うことができない。
5月、イエロードア・エナジーはドバイのマジド・アルフタイムと、ヨルダンの同社カルフール店舗にソーラー電力を供給する契約を結んだ。
同社は17メガワット(MW)のソーラー発電所を建設し、同国内の28の店舗に電力を供給する予定である。
一般的に、10,000平方メートルのソーラーパネルは1メガワットの電力を発電する。「私たちは通常、1メガワット以上の電力を必要としている企業に重点を置いています」と、クレーン氏は述べる。
顧客は電力網や発電業者などその他の電源との接続を維持する。ソーラー電力は天候や時間帯によって変動が大きいため、バックアップのソリューションは欠かすことができない。
「ソーラーパネルのセル価格は毎年5~10%下がっています。これを主に後押ししているのが発電効率の向上です。そのため、より少ないパネルで同じ量の電気を発電することができます」と、クレーン氏は言う。
「必要なソーラーパネルの数が少なければ、必要なラックや配線、作業員も少なくてすみ、プロジェクト全体のコストを大幅に削減できます」
このことによってイエロードア・エナジーは、よりコストの低い電力を顧客に提供することができる。
「彼らが支払わなければならないリース料を下げることができます」と、クレーン氏は言う。
UAEにおけるイエロードア・エナジーの顧客は、その大部分が物流、工業、および飲食料品分野の企業である。
ヨルダンではどちらかと言えばショッピングモールや病院、スーパーマーケットが顧客となっている。
エジプトでは物流および軽工業を中心とし、一方でパキスタンの顧客は主に工業分野である。
「企業が自社敷地内でクリーンな電力を作り出せるようにすることによって、持続可能なエネルギー変革を加速させることができます」と、クレーン氏は言う。
彼の会社は2019年1月に行われたベンチャーキャピタル資金調達の最初のラウンドで6,500万ドルを手にした。株主には世界銀行の国際金融公社、日本の複合企業体である三井、およびアラブ石油投資会社(APICORP)が含まれる。
UAE、ヨルダン、パキスタンに約50人のスタッフを持つイエロードア・エナジーは、2019年に1億ドル以上を投資してソーラー発電所を建設することを目標としていた。
2020年は「地理的な事業規模拡大を支援するため」さらなる資金調達を計画しているとクレーン氏は最後に述べ、このスタートアップが湾岸地域、レバーント地方、およびアフリカに目を向けていることを付け加えた。
この記事はミドルイースト・エクスチェンジのパートナーとしてアラブニュースが公開している。ミドルイースト・エクスチェンジはアラブ地域の地位を変える可能性を探るというUAE首相兼ドバイ首長国首長のビジョンを示すことを目的に、ムハンマド・ビン・ラシード・アル・マクトゥーム・グローバル・イニシアチブとビル&メリンダ・ゲイツ財団によって創設された。