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G7、EUと共にロシア産原油に1バレル60ドルの価格上限を設定

トランスネフチPJSCの子会社チェルノモルトランスネフチJSCの一部であり、ロシア南部で最大の石油・石油製品施設の一つであるシェスハリスの施設に停泊する石油タンカー。2022年10月11日(火)、ロシアのノヴォロシースク。(AP)
トランスネフチPJSCの子会社チェルノモルトランスネフチJSCの一部であり、ロシア南部で最大の石油・石油製品施設の一つであるシェスハリスの施設に停泊する石油タンカー。2022年10月11日(火)、ロシアのノヴォロシースク。(AP)
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03 Dec 2022 07:12:11 GMT9
03 Dec 2022 07:12:11 GMT9
  • 米国のジャネット・イエレン財務長官は声明の中で、今回の合意はプーチン大統領がウクライナで不法な戦争を行うための「主要な収入源を制限すると同時に、世界のエネルギー供給の安定性を保つ」助けとなると述べた

ワシントン:主要7ヶ国(G7)とオーストラリアは2日、EUと共にロシア産原油に1バレル60ドルの価格上限を設定することを決定した。

欧米諸国による制裁が、世界の石油市場を再編成して価格高騰を防ぎ、ウラジミール・プーチン大統領がロシアで戦争を遂行するための資金源を断つために行われている中で、要となる措置だ。

EUは、海上輸送されるロシア産原油に対する禁輸およびそれらの供給に対する保険の禁止が発効する5日までに、他の国が支払う上限価格を設定する必要があった。

この上限価格は、世界へのロシア産原油の供給が急激に減少すればエネルギー価格がさらに高騰しインフレが加速する恐れがある中で、そのような急激な供給減を防ぐことを目的としてG7の富裕な民主諸国の主導で設定された。

米国のジャネット・イエレン財務長官は声明の中で、今回の合意はプーチン大統領がウクライナで不法な戦争を行うための「主要な収入源を制限すると同時に、世界のエネルギー供給の安定性を保つ」助けとなると述べた。

今回の合意は土壇場での慌ただしい交渉の末に結ばれた。

ポーランドは上限をできるだけ低くすることを要求してEUの合意を長く遅らせてきた。

他のEU諸国が合意を支持するというシグナルを送る中、24時間以上にわたる討議を経て、2日遅くにポーランドがようやく歩み寄った。

2日に発表されたG7による共同声明は、市場の動きや加盟国および低中所得国への潜在的な影響を考慮したうえで「必要に応じて上限価格を見直し調節する用意がある」と述べている。

エストニアのカヤ・カッラス首相は、「ロシアのエネルギー収入を断つことはロシアの戦争機構を止める努力の中核となる」として、上限価格が以前の提案から数ドル引き下げられたことを歓迎すると述べた。

また、上限を1ドル下げるごとにロシアの戦争資金が20億ドル減ることになると指摘した。

さらに、「周知のように、我々はより低い上限価格を求めていた」と述べ、EU内での意見の相違を強調した。

「ロシアに実質的な打撃を与えるためには上限価格を30~40ドルにする必要がある。今回の合意は我々にできた最善の妥協だ」

1バレル60ドルという上限価格は、最近1バレル60ドルを下回ったロシア産原油の現在の価格に近い。ロシアの主要な収入源の一つを断つには高すぎるとの批判もある。

2日に1バレル85.48ドルに下落した国際ベンチマークのブレント原油からするとかなりの割引価格だが、ロシアが上限設定に反発しながらも販売を続けるには十分に高い価格かもしれない。

世界の石油市場にとっては、世界第2位の産油国からの大量の原油を失うリスクがある。

また、米国のジョー・バイデン大統領や他国の指導者たちはガソリン価格高騰による政治的騒動に直面してきたが、世界中でガソリン価格がさらに跳ね上がる可能性もある。

欧州は既にエネルギー危機に陥っており、各国政府は生活費高騰に対する抗議に直面している。一方、発展途上国はエネルギー価格変動の影響に対してさらに脆弱である。

しかし、ウクライナの戦争が9ヶ月目へと入る中、プーチン大統領の戦争資金に流れ込む資金を制限しロシア経済に打撃を与えるためにロシアの主要な収入源の一つである原油を標的にするようにとの欧米諸国への圧力が高まっている。

パンデミック後に需要が回復したことで石油・天然ガスの価格が上昇したうえ、その後のウクライナ侵攻でエネルギー市場が不安定になりロシアの国庫は潤った。

米国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報調整官は2日、記者団に対し次のように述べた。

「上限設定自体には、プーチン氏が原油輸出から利益を得る能力およびその資金を戦争機構に使用する能力を制限するという狙い通りの効果があるだろう」

しかし、今後にはさらなる不確実性が存在する。

中国の新型コロナ規制や世界経済の減速により石油需要が減退する可能性があるのだ。

10月にロシアを含むOPECプラスが減産を決定した際に指摘したのはこの点だ。

4日には次のOPECプラス会合が予定されている。

それと平行して、EUによる禁輸によって市場への原油供給がさらに減少する可能性があり、供給逼迫と価格高騰の恐れが高まっている。ロシアは1日約500万バレルの原油を輸出している。

プーチン大統領は上限価格以下では原油を売らず、この措置を実施する国に報復する意向を示している。

しかし、EUによる禁輸措置以前から欧米の顧客はロシア産原油を避けていたため、ロシアは既に原油供給の多くをインドや中国などのアジア諸国への割引価格での販売に切り替えている。

保険業者の大半はEUあるいはイギリスにあり、価格上限設定への参加を求められる可能性がある。

ロシアは所有者が曖昧な「ダーク・フリート」のタンカーを利用することで帳簿外で原油を売ることもできるかもしれない。

原油を別のタンカーに移して同程度の品質の原油と混ぜて原産国を偽装することも可能だ。

ベルリンの国際戦略研究所の制裁専門家マリア・シャギナ氏は、そのような状況下でも上限設定によって、ロシアが制限を迂回して原油を売るのに「よりコストと時間と面倒がかかる」ようにすることができると言う。

ワシントンの国際金融協会でチーフエコノミストを務めるロビン・ブルックス氏は、原油価格が1バレル120ドル前後で推移していた今年の夏に上限を設定すべきだったと言う。

「それ以降、原油価格は明らかに下落し、世界的景気後退が現実味を帯びてきた」と同氏は言う。「現在の原油価格を考えれば、上限設定が拘束として機能する可能性は低いというのが現実だ」

欧州諸国の指導者らは、イエレン財務長官が発案した価格上限に関する自分たちの働きを喧伝した。

EUの執行機関である欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「G7ほかの調整で実現した原油価格上限に関するEUの合意により、ロシアの収入は大幅に減少するだろう」と述べた。「世界のエネルギー価格の安定に貢献し、世界中の新興国の経済に恩恵をもたらすものだ」

AP

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