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世界銀行、気候変動などの危機に対応するため資金増額を求める:ロイター

今回のロードマップ文書は、世界銀行の使命とおよび資金源の変更に向けた交渉プロセスの開始を意味する(シャッターストック)
今回のロードマップ文書は、世界銀行の使命とおよび資金源の変更に向けた交渉プロセスの開始を意味する(シャッターストック)
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03 Jan 2023 09:01:21 GMT9
03 Jan 2023 09:01:21 GMT9

ワシントン: ロイターが入手した「進化のロードマップ」によると、世界銀行は気候変動その他の世界的危機に対処するため融資能力の大幅な拡大を目指しており、4月の総会に向けて、増資や新たな融資手段などを含む提案事項について加盟国と交渉する予定であることが明らかになった。

加盟国政府に送られたこのロードマップ文書は、世界銀行の使命および資金源を変更し、第二次世界大戦後の設立以来用いられてきた国別およびプロジェクト別の融資モデルからの脱却に向けた交渉プロセスの開始を意味するものである。

同文書によれば、世界銀行経営陣は、同行の使命、運営モデルおよび財政能力を変更する具体的な提案事項を準備し、世界銀行と国際通貨基金が10月に開催する合同開発委員会での承認を目指している。

世界銀行の広報担当者は、同文書は、今回の改善の範囲、アプローチおよび今後の予定に関する詳細情報の提供を目的とするものであり、加盟国や今年後半の決定に向けて定期的に更新していくものであると述べた。

AAA格付けは維持

同文書によれば、開発金融機関では、新たな増資の可能性、資本構造の変更による更なる融資の実現、および民間部門融資への保証や更なる民間資本の活用などの新規融資手法を検討する予定である。

しかし、世界銀行グループは、融資を強化するために、長年維持している最高水準の信用格付けを放棄するよう求める一部の非営利団体の要求に応じる姿勢ではない。世界銀行は、「世界銀行経営陣は、世界銀行グループの事業体のAAA格付けを維持しながら、世界銀行グループの能力を向上させることができる選択肢をすべて検討するでしょう」と述べた。

ジャネット・イエレン米財務長官は、世界銀行などに対し、融資を強化するために事業モデルを見直し、中所得国の石炭火力発電からの脱却に対する支援などの、世界により広い利益をもたらす投資に民間資金を活用するよう求めている。

米国財務省の広報担当者は、世界銀行の文書に関するコメントを拒否している。

世界銀行によれば、法定貸付限度額の引き上げ、資本の負債に対する比率要件の引き下げ、コーラブル資本(加盟国政府が誓約したが払い込まれていない資金)の貸付への活用などの提案を検討中である。

開発の専門家らは、今回の変更が実現されれば、払込済資本のみを活用する現行の資本構成と比べて、融資額が大幅に増加するだろうと語る。

世界銀行は、当該文書において「世界が直面する課題に対処するには、国際社会による支援を大規模に向上させる必要があります」と述べている。「世界銀行グループが今後も開発および気候変動に関する金融において中心的役割を果たすためには、加盟国と世界銀行経営陣の双方が協調して努力し、世界銀行グループの資金調達能力を強化する必要があります」とする。

不十分な資金

今回のロードマップでは、気候変動、医療、食糧安全保障などのニーズに対処するための融資額を積み上げるには、世界銀行の中所得国向け融資部門である国際復興開発銀行(IBRD)の能力を高めるための増資が必要になるかもしれない、と注意を促している。

同文書は、IBRDが2018年に実施した130億ドル(約1兆7000億円)の増資は、「10年に1度の中規模の危機に備えるため」のものであり、新型コロナウイルスの大流行、ウクライナ戦争、加速する気候変動による影響などといった「重なって生じる複数の危機」のために行われたものではないとしている。危機に備えるためのIBRDの資金は、2023年半ばまでに枯渇する可能性が高いという。

同ロードマップによれば、もう一つの選択肢は、世界銀行の加盟国が、世界最貧国のための基金である国際開発協会(IDA)への定期的拠出を増加させることである。この案は、ニーズの高まりをよそに、近年却下されている。

同ロードマップはまた、中所得国向けに新たな剰余的条件貸付の信託基金を創設するという選択肢も提供している。この基金は、国際公共財に焦点を当て、IDA類似の構造を有し、世界銀行の資本構造とは別途、定期的に資金が補充されることになる。

「このような基金があれば、世界銀行グループを支える加盟国の予算系統とは別に、ドナーからの二国間資金を集めることができ」、例えば民間財団法人などの「加盟国以外のドナーを集めることができる可能性があります」と世界銀行は語る。

同行は、良好な開発成果を保ちつつ気候変動融資を増やすという使命を進化させるためには、職員の更なる増員と、過去15年間で実質3%減少している予算の追加的財源が必要になると述べた。

ロイター

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