ワシントン:国際通貨基金(IMF)は16日発表した最新の世界経済見通しで、2024年の世界全体の成長率を3.2%と予測した。好景気が続く米国の成長率が大きく上振れし、1月の前回予測から0.1ポイント引き上げた。25年は3.2%で据え置いた。
日本の24年の成長率は0.9%と変わらず。インバウンド(訪日客)の需要拡大効果が剥落し、23年(1.9%)から急減速する。インフレ率は2.2%、25年が2.1%と、日銀が目標とする2%を上回ると見込んだ。
IMFは「日本ではインフレ率が中期的に目標へと持続的に近づくとの確信が強まる」と指摘。日銀が政策金利を今後約3年で0.5%程度へと、緩やかに引き上げると予想した。
米国の24年の成長率は2.7%と、前回予測から0.6ポイントの大幅な上方修正。一方でユーロ圏は0.1ポイント引き下げ、0.8%とした。IMFは、米欧のインフレ鈍化を背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が今年後半に利下げに転じると予想した。
中国は4.6%と前回予測を据え置いた。不動産不況が成長の重荷になるとみている。ロシアは3.2%に上方修正。ウクライナ侵攻に伴う西側諸国の制裁にもかかわらず、個人消費が成長を押し上げると分析した。
◇IMFの成長率予測
2024年 2025年
世界全体 3.2 (0.1) 3.2 (0.0)
日本 0.9 (0.0) 1.0 (0.2)
米国 2.7 (0.6) 1.9 (0.2)
ユーロ圏 0.8(▲0.1) 1.5(▲0.2)
中国 4.6 (0.0) 4.1 (0.0)
インド 6.8 (0.3) 6.5 (0.0)
ロシア 3.2 (0.6) 1.8 (0.7)
(注)単位%。カッコ内は1月の前回予測からの変化幅。▲はマイナス
時事通信