
ニルマル・ナラヤナン
ダボス:世界は史上最大のエネルギー危機に直面しており、特にロシアによるウクライナ侵攻後はそうなっていると、国際エネルギー機関のファティ・ビロル事務局長は話した。
1月17日にダボスで開催された世界経済フォーラムでビロル氏は、未曾有の変動がクリーンエネルギー開発を大きく加速させていると述べた。
安全保障上の懸念が、再生可能エネルギー分野で起きている進歩を後押ししている、と同氏は付け加えた。
「私たちは初めての世界的エネルギー危機を迎えています。世界は、これほど深刻な危機を経験したことがありません。ロシアは、2月24日までは、世界一のエネルギー輸出国で、世界一の石油輸出国で、石炭市場の主要プレーヤーでした」とビロル氏は述べた。
「かつてクリーンエネルギーといえば、再生可能エネルギーや電気自動車のことでした。それらは成長していました。しかし、その主要な原動力は環境上の理由でした。現在、再生可能エネルギーの成長の最大の原動力はエネルギー安全保障です。再生可能エネルギーは、エネルギー安全保障上の理由から、非常に強く推進されています」と同氏は付け加えた。
ビロル氏はさらに、2022年の再生可能エネルギーの使用量が前年比で25%増加し、クリーンエネルギー分野が急速に成長していることを指摘した。
「2019年、販売された自動車100台のうち電気自動車はわずか3台でしたが、昨年は13%になりました。2030年には、欧米や中国で販売される自動車の2台に1台は電気自動車になるでしょう」とビロル氏は付け加えた。
ビロル氏はまた、クリーンエネルギー分野の進展を加速させるには、十分な投資が必要だと述べた。
「現在、世界は化石燃料に1ドル投資し、クリーンエネルギーに1.5ドル投資しています。世界が持続可能性の目標を達成したいのであれば、この1対1.5の比率を1対9にしなければなりません」とビロル氏は述べた。
一方、オキシデンタル・ペトロリアムのビッキー・ホルブ最高経営責任者(CEO)は「石油は今でも、最も強力で最も低コストのエネルギーです」と述べた。
同氏はまた、二酸化炭素排出量を削減するために、二酸化炭素回収技術の開発など、必要な措置を取るべきだと明言した。
同氏はまた、「石油・ガス産業は、二酸化炭素を排出しているとして常に批判されていますが、大気中への二酸化炭素の排出に関与している産業は他にもあります」と述べた。
「重要なのは、敵はエネルギー源ではなく二酸化炭素の排出だということを理解することです。私たちに必要なのは大胆な移行です。
その移行が起きるときに、途上国や新興国を置き去りにしないようにしなければなりません」とホルブ氏は話した。