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ビジョン2030プロジェクトがサウジアラビアの不動産ブームを誘発

商業用不動産のグローバルリーダーであるコリアーズ社によると、「健全な住宅不動産市場は、活力ある経済の重要な実現要因である」(Shutterstock)
商業用不動産のグローバルリーダーであるコリアーズ社によると、「健全な住宅不動産市場は、活力ある経済の重要な実現要因である」(Shutterstock)
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27 Feb 2023 04:02:51 GMT9
27 Feb 2023 04:02:51 GMT9

レベッカ・アン・プロクター

  • 「健全な住宅不動産市場は、活力ある経済の重要な実現要因である」との報告書

レベッカ・アン・プロクター

リヤド:ビジョン2030戦略に関連する数十億ドル規模のプロジェクトにより、サウジアラビアの不動産業界は記録的な好景気を迎える見込みであると、不動産専門家がアラブニュースの取材に対して述べている。

専門家たちは、この分野に成長をもたらすのは、現在サウジアラビアで進行中の巨大な社会経済的変革の一部になることに強い関心を寄せている外国人投資家たちだと述べている。

ビジョン2030計画の立ち上げ以来、サウジアラビアは経済の多角化と石油・ガス収入への依存を減らすために、いくつかの措置を講じてきた。

サウジアラビアは、住民と市民の生活の質の向上を中心テーマとして、経済のあらゆる分野、特に観光、娯楽、芸術、文化を支えようとしている。

パブリック・インベストメント・ファンドが出資する、サウジアラビアの大手不動産デベロッパーであるROSHNのような政府出資のプロジェクトも、サウジアラビア全体の持ち家需要の増加に貢献している。

ロンドンを拠点とする不動産コンサルタント会社ナイトフランクによると、2022年11月、サウジアラビアの住宅用不動産市場の取引総額が6%増加した。

ナイトフランク社のパートナーで中東リサーチ部門長のファイサル・ドゥラニ氏は声明で、「取引額は依然として上昇しており、昨年と比較して6%増加していることから、サウジアラビア各地で住宅価格の上昇ペースが浮き彫りになっています」と述べている。 

現在サウジアラビア全体で、リヤドのニュームラッバ地区のような、独立した大都市となるギガプロジェクトが約15件、さまざまなフェーズで進行中である。(提供)

「実際、リヤドではこの122ヶ月間でアパートの平均価格が30%上昇しており、リヤド北部のもっとも好条件の郊外の一部では約40%とさらに高くなっています。首都の戸建て価格も20%上昇しています」とドゥラニ氏は述べている。

ナイトフランク社によると、2030年までに55万5,000戸以上の住宅、27万5,000戸以上のホテルの部屋、430万平方メートル以上の小売スペース、610万平方メートル以上の新しいオフィススペースができると予想されている。

「サウジアラビアで計画されている建設は、サウジアラビアを世界がこれまで見たことのない最大の建設地にすることでしょう」とナイトフランク社は述べている。

現在サウジアラビア全体でギガプロジェクトが約15件、さまざまなフェーズで進行中であり、その多くは独立した大都市となる。

その中には、これまでに発表された中で最大のギガプロジェクトであるNEOMも含まれており、完成時には推定30万戸の新築住宅で900万人の住民がどのように居住するかが公表されている。

しかしナイトフランク社は、これまでに発注されたサブプロジェクトはわずか75億ドルであり、その建設進捗率は29%に過ぎないと付け加えている。 

取引額は依然として上昇しており、昨年と比較して6%増加していることから、サウジアラビア各地で住宅価格の上昇ペースが浮き彫りになっている。

ファイサル・ドゥラニ氏、中東リサーチ部門長、ナイトフランク社

オクタゴン、トロヘナ、ラインといった、他の小規模都市や副都市は、高級住宅の新しい基準を設定しようと努力しており、サウジアラビアの住宅所有者の30%近くが、80万ドル以上をサウジアラビアのセカンドハウスに費やす用意があるようだ。デベロッパーは今、このような需要の高まりに応えるべく仕事に取り組んでいる。

リヤドを拠点とする民間不動産管理会社ファイのCEO兼会長であるアブドルアジーズ・ビニョーセフ氏はアラブニュースの取材に対し、「住宅市場は大きく成長しています」と語った。「住宅用不動産への膨大な需要を目の当たりにしてきており、特に住宅ローンの導入とサウジアラビアの人口増加により、この10年間で指数関数的な成長を遂げました」

2021年に発表された『リヤド、ジェッダ、ダンマン、アル・コバールにおける住宅市場のダイナミクス』という論文で、コリアーズ社はこれらのサウジ主要都市の世帯数が「2020年の231万世帯から2030年には約288万世帯に増加し、平均2.24%の成長を記録する」と予測している。

商業用不動産のグローバルリーダーによると、「健全な住宅不動産市場は、活力ある経済の重要な実現要因である」

サウジアラビアの首都でビジネス活動が活発化し、外資系企業の地域本部が設立されたことで、サウジアラビア全土からより良い環境を求めてリヤドに移住する人々が増えてきているため、リヤドの人口は自然に増加するだろう。公式の推計によると、2030年までに人口は680万人から1,500~2,000万人に増加すると言われている。

人口の増加は、ワークスペースや住宅の需要の増加を意味する。

「不動産の需要は高まる一方です」とビニョーセフ氏は述べている。「この上昇のおもな要因の1つは人口増加、2つ目は手ごろな価格、そして3つ目は投資家にとって有利な市場であることです」

外国からの投資も、サウジアラビアの不動産市場の上昇に欠かせない原動力である。

ブルームバーグ社が最近報じたように、バーレーンを拠点とする中東最大の資産運用会社の1つであるインベストコープ・ホールディングスは、今後5年間でサウジアラビアの不動産市場に10億ドル近く投資し、「サウジアラビアで予想される不動産ブーム」にのる意向である。

ブルームバーグ社によると、インベストコープ・ホールディングス社はすでにサウジアラビアの東部州ダンマンの物流倉庫を買収したと声明で述べている。

ビニョーセフ氏は、現在の不動産市場で住宅が上昇するには、政府の支援も欠かせないと考えている。

政府は不動産開発基金を通じて住宅ローンを補助することで、サウジ国民の持ち家率を高める対策を講じている。

ナイトフランク社がサウジアラビア全土の1,000世帯を対象に行った最近の調査では、NEOMが「家を持ちたい」場所の1位に浮上し、紅海プロジェクトとディルイーヤがこれに続いた。

200億ドルをかけてリヤド地方に建設されるディルイーヤゲートは、2027年の完成までに2万戸をリヤドの住宅ストックに追加する予定である。

ビニョーセフ氏によると、ジーザーンもサウジアラビアで急成長を遂げている都市であり、不動産分野も急成長している。

紅海沿岸に位置するこの都市は、サウジアラビアの農業の中心地であり、大手コーヒーメーカーをはじめとする農産物の生産地となっている。

サウジアラビアの「フルーツバスケット」とも呼ばれるこの地域は、多角的に発展している地域でもある。また、サウジアラムコの石油精製所が新たに建設されることで、ジーザーンの発展に拍車がかかると期待されている。

ビニョーセフ氏はアラブニュースの取材に対し、「ジーザーン市では、港の開発をはじめ、多くの新しいプロジェクトが進行中です」と語った。

また、政府が観光事業を推進していることにより、さらに発展し、最終的には最終的には不動産市場の活性化につながるだろうと述べた。 

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