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黒田日銀総裁の記者会見での発言

日本銀行の黒田東彦総裁。(AFP)
日本銀行の黒田東彦総裁。(AFP)
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10 Mar 2023 08:03:27 GMT9
10 Mar 2023 08:03:27 GMT9

日本銀行は10日、超低金利を維持し、物議を醸している債券利回り制御政策の変更を見送り、4月の総裁交代を前に選択肢を残した。

この決定は大方のアナリストの予想どおりであったが、任期が残りわずかとなった黒田東彦日本銀行総裁が最後の政策決定会合でイールドカーブ・コントロール (YCC) を微調整するとの予想を一部の投資家が撤回したため、円および地方債利回りを急落させる結果となった。

以下は、会談後の記者会見における黒田総裁の発言の抜粋である。

賃金とインフレ率

「春季の労使交渉では、労使双方からこれまでとは違う声が聞かれ始めています。これによって、賃金と物価が上がらないという長年の認識から日本が脱する前向きな変化につながることを期待しています」

「時間はかかるかもしれませんが、日銀が目標とする2%を安定的かつ持続的に達成することは可能です」

「賃金と物価があまり上がらないという日本の長年の認識に変化の兆しが見えています。それは、インフレに対する期待の高まりに現れています。

賃金の上昇を伴う形でインフレ率を2%にするという日銀の目標に近づいているのかもしれません。しかし、経済を取り巻く環境は依然としてさまざまな不確実性があります。そのため、企業の賃上げ努力を支援するため、当面は大規模な景気刺激策を維持することが重要です」

金融緩和の副作用

「日銀は金融緩和の副作用を緩和するためにさまざまな対応をとっていますし、その副作用の面よりも金融緩和のプラスの効果がはるかに大きいと思っています」 

超緩和政策からの脱却

「超緩和政策からの出口を議論するのは時期尚早です。金利と日本銀行のバランスシートの変化をどのように組み合わせ、どのような順序で行うかは、その時点の経済と物価の動向によるでしょう」

「インフレ率は2023年度後半にかけて鈍化し目標を下回り、その後再び持ち直すと予想しています。したがって、現段階で日銀が緩和政策から脱却できるかどうかを判断するのは時期尚早です」

賃金交渉

「日本がプラスの賃金インフレサイクルを達成するためには、基本給の上昇率などの賃金交渉の結果が極めて重要です。しかし我々は、ひとつのデータだけを見ているのではなく、経済と物価が動くメカニズムを見て、見通しを判断しています」

市場のゆがみについて

「1月の会合以降、イールドカーブの形状は総じてスムーズになっていますが、ゆがみが解消するまでには至っていません。まだ市場機能の悪化が見られます」

YCCにおける10年の長期金利の許容変動幅を上下0.25%程度とする運用を長期間行ってきたことも踏まえると、新たな運営方針の下で市場の金利形成が定着していくには、ある程度時間を要します。

さまざまなツールを駆使して柔軟な市場操作を行うことで、市場機能が徐々に向上していくことを期待しています」

黒田総裁が就任した当初と現在では金融政策に変化があったのか

「日銀はこの10年間、一貫して量的・質的金融緩和(QQE)を実施してきました。資産購入の増加やツールの種類の多様化など、技術的な面では変化があったかもしれません。しかし、大規模な金融緩和を実現する上でQQEを変えたわけではありません」

「しかし、この3年間で変わったのは、日銀が新型コロナウイルス感染症のパンデミックに対処するため、市場操作を通じて大量の流動性を投入したことです。これは大きな成功であり、QQEにおいて特筆すべきことです」

ロイター

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