リヤド:16日、国際連合の教育科学文化機関ユネスコは、占領下のヨルダン川西岸地区にあるパレスチナの都市エリコにほど近いテル・エッ・スルタンの先史時代の遺跡を世界遺産に登録した。
エジプトのピラミッドよりも古いテル・エッ・スルタン遺跡は、ヨルダン渓谷にある楕円形のテル(人工の丘)で、先史時代の人間の活動にかかわる埋蔵物が含まれている。
ユネスコのX(旧ツイッター)の投稿によれば、今回の決定は、サウジアラビアのリヤドで開催中の第45回世界遺産委員会の会議で下された。
セッションの中で、ユネスコの文化担当事務局長補エルネスト・オットーネ氏は、「候補地として提案されているのは、エリコの遺構の外にある先史時代のテル・エッ・スルタン遺跡です」と述べた。
同遺跡は、3年間の立候補を経て登録に至った。オットーネ氏は、メディアに伝える権限がないとして匿名を条件に「その間、締約国から異論は出ませんでした」と語った。
また、「(テル・エッ・スルタン)遺跡ではユダヤ教やキリスト教に関する遺跡は見つかっていません。先史時代の遺跡が残る場所です」とAFPに説明した。
パレスチナのマフムード・アッバース大統領は、テル・エッ・スルタン遺跡の登録について、「とても重要な決定で、パレスチナ人の真正性と歴史の証しだ」と考えると述べた。
大統領府が出した声明の中で、大統領は、パレスチナ当局として「全人類のためにこのユニークな場所を保存し続ける」と誓った。
リヤドで同委員会に出席していたパレスチナのルーラ・マーヤ観光相は、声明の中で、ユネスコの登録でテル・エッ・スルタン遺跡が「人類にとって極めて価値のある、パレスチナの多様な遺産に欠かせない一部分」であることが示されたと述べた。
そして、テル・エッ・スルタン遺跡の「世界最古の要塞都市としての重要性を考えれば、世界遺産登録に値する」と続けている。
ユネスコは公式ウェブサイトで、「オアシスの肥沃な土壌があり、水にもアクセスしやすかったことから、紀元前9千年紀から紀元前8千年紀までに定住地がこの地に出現した」と説明している。
ユネスコは、「同遺跡で発見された頭蓋骨と彫像」はこの地の新石器時代の人々の間に儀式の習慣があったことを証明しており、青銅器時代初期の考古学的資料からは都市計画が行われた可能性がうかがえる」と述べた。
パレスチナ国営通信社ワファの報道によると、テル・エッ・スルタン遺跡は1世紀以上にわたって発掘調査が行われ、継続的に人が住んでいる地球上最古の集落と言われている。
テル・エッ・スルタン遺跡は、降誕教会とヘブロン旧市街と並んでパレスチナで4番目のユネスコの世界遺産になった。
AFP