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フランクリン・テンプルトン幹部、サウジの経済発展に惹かれるグローバル投資家が増加中と指摘

以前は地域の債券市場におけるシェアが経済的なウェイトを大きく下回っていたサウジアラビアだが、現在では従来の債券だけではなくグローバルなシャリア準拠債券やイスラム債の市場でも他を牽引する存在となっている。(SPA)
以前は地域の債券市場におけるシェアが経済的なウェイトを大きく下回っていたサウジアラビアだが、現在では従来の債券だけではなくグローバルなシャリア準拠債券やイスラム債の市場でも他を牽引する存在となっている。(SPA)
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26 Mar 2023 10:03:35 GMT9
26 Mar 2023 10:03:35 GMT9

レイナ・タクラ

リヤド:「ビジョン2030」プログラム下の複数ギガプロジェクトと経済計画が推進力となって、サウジアラビアが投資家たちにとって魅力的な投資対象として浮上してきたと世界的資産運用会社フランクリン・テンプルトンの幹部が述べた。

アラブニュースとの独占インタビューでフランクリン・テンプルトンの新興市場株式グループMENA地域株式担当の責任者であるサラー・シャマ氏は、サウジアラビアにおける投資機会について楽観的な口調で語った。

「公共部門によって牽引され、民間企業が主体となって、または、有意義な形で参加する長期的な性質の大規模プロジェクトが、サウジアラビアの株式市場を押し上げています」と、シャマ氏は語った。

シャマ氏は、また、サウジアラビア社会の若年層についてもコメントした。「サウジアラビアは最も急速に人口が増加している国々の内の1つです。これは、一般的に、新興市場について考える際に重要な要素です。さらには、サウジアラビアの1人当たりの所得は世界最高水準にあり、サウジアラビアは消費者市場で事業を展開する企業にとって非常に心強い環境となっているのです」

フランクリン・テンプルトンの新興市場株式グループMENA地域株式担当の責任者であるサラー・シャマ氏。(提供写真)

フランクリン・テンプルトンのグローバル・スクークおよび中東・北アフリカ債券担当最高投資責任者であるモヒエディン・クロンフォル氏もシャマ氏と同様に楽観的だ。

クロンフォル氏は、現在こそが債券市場に投資する絶好のタイミングであるとして、その理由を2つ挙げた。

「1つ目の理由は、利回りが1年前よりもずっと高くなっており投資家が利用できる収入が大幅に増加したからという明白な理由です」と、クロンフォル氏は語った。「また、債券市場が提供可能な保護も強化されています。つまり、サウジアラビアの債券市場への投資について言えば、それは非常に質の高い、主として政府が出資している市場であり、投資家が資金を活用するのに安全な市場だということになるのです」と、クロンフォル氏は付け加えた。

サウジアラビアとMENA地域の債務に対するフランクリン・テンプルトンの見通しは、「非常に建設的で前向き」だと、クロンフォル氏は続けて述べた。

「投資家は、提供される利回り、そして、国債や政府保証債から得られる安心感や安全性を活用したいという期待を持っていると、フランクリン・テンプルトンは考えています」と、クロンフォル氏は語った。

サウジアラビアの債券市場における位置づけには過去5年間で「信じ難い進歩」が有ったと、クロンフォル氏は主張した。

「以前は地域の債券市場におけるシェアが経済的なウェイトを大きく下回っていたサウジアラビアですが、現在では従来の債券だけではなくグローバルなシャリア準拠債券やイスラム債の市場でも他を牽引する存在となっています」と、クロンフォル氏は語った。

シャマ氏とクロンフォル氏は、サウジアラビア以外では、投資と所有関連の法律が大幅に改善されたUAEにおける投資機会にも前向きな展望を持っている。

「UAEで設立されている企業数や展開されている経済活動は、すべて、UAE内で事業を行っている企業にとって非常に強い追い風です」と、シャマ氏は言った。

フランクリン・テンプルトンの中東・北アフリカ債券担当最高投資責任者であるモヒエディン・クロンフォル氏。(提供写真)

しかし、それで全てではない。湾岸協力会議加盟諸国における他の前向きな動きの中で、シャマ氏は、特に、複数政府が資産売却処分プログラムを促進しており、良質資産や優良資産を魅力的な評価額で売り出していることを指摘した。

「各国政府は、リスクの多くを取り除いた上でこうした資産を一般提供することに漕ぎ着けました。つまり、長期にわたって非常に安全で明確なキャッシュフローを有する、良質で大規模なインフラ関連企業株を魅力的な評価額で入手することが可能になってきたのです」

強靭な回復

クロンフォル氏は、新型コロナ禍によってもたらされた減速の後、MENA地域は強靭な回復を見せていると語った。

「私たちのMENA地域について言えば、新型コロナ禍に対して公衆衛生の観点だけではなく、経済再開の観点からも非常に堅実な対応が行われました」と、クロンフォル氏は指摘した。

「政策が優れていたため、新興国の3分の1、先進国の6分の1の支出で同レベルの回復を果たしたのです」

クロンフォル氏は、この新型コロナ禍後の経済再開により、しっかりと固定されたインフレ率、良好な成長、強固なバランスシートのおかげで、MENA地域は高い投入コストをある程度吸収出来たのだと確信している。

「企業や政府にとってはどれほどコストがかかろうとも、より高い投入コストに関する限り、大した困難も無く転嫁可能だったわけです」と、クロンフォル氏は続けた。「そして、それが、この数年間、数多くの先進国市場において、MENA地域が他の新興経済国よりも優れたパフォーマンスを示している主要な理由の1つなのです」

さて、将来は、金利の動向、米ドル、そして、私たち皆が注視している原油の動向に大きく依存することになるでしょう…MENA地域の政策立案者が原油価格維持のために全力を挙げていることは私も承知しています。しかし、それには不確実性が付き纏っています。とはいえ、原油価格が70米ドルよりも高い水準で、私たちの財源により政策の柔軟性が維持されるなら、この地域は有利な立場にあると思います」と、クロンフォル氏は付け加えた。

投資家が直面する課題

投資家が直面する課題について尋ねられたシャマ氏は、「現在世界で起きていることは、金利の上昇により、一般的な資本コストが上昇しているということです。資本コストの上昇に伴い、その資本に関連した様々な資産の競合が発生します」と答えた。

「そこで、現時点において、投資家が取り組むべき重要課題は主に資産配分の問題です。現在非常に魅力的な金利上昇の利益を得るべきなのか株式市場に投資するべきなのかを、投資家は判断する必要があるのだと私は思います」

「現在は、数年間の金融緩和政策と低金利の後の、金融引き締めと高金利という状況です。そのため、すべての資産クラスに全般的に影響を与え得るボラティリティが相当存在するということになります」と、シャマ氏は付け加えた。

「また、MENA市場には、特に現在、外国人投資家の参加が増加しており、そのボラティリティの影響を受けないわけにはいかなくなりつつあります」

シャマ氏は、MENA地域の市場がここ数年間かなり好調で評価額が大幅に上昇していることから、企業が拡大計画をやり通すことも重要な課題だと確信している。

「企業が成長の誓約を果たせなかった場合、言うまでもなく、相応の調整が行われることになります。それはそれとして、このようなタイプの環境下では、投資家は、世界的な状況から生れるボラティリティと不確実性のレベルを考慮の上、最高の企業銘柄だけでなく、最高の経営者、最高の資産クラスを選択し得る相当高い眼識を備えている必要があると、フランクリン・テンプルトンは考えています」と、シャマ氏は締めくくった。

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