Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • ビジネス
  • サウジアラビアと英国、ロンドンフォーラムで成果を称え、今後の協力関係を協議

サウジアラビアと英国、ロンドンフォーラムで成果を称え、今後の協力関係を協議

英サウジ・ビジネス・貿易・パートナーシップフォーラムで聴衆に挨拶する駐英サウジアラビア大使のハーリド・ビン・バンダル王子。(提供)
英サウジ・ビジネス・貿易・パートナーシップフォーラムで聴衆に挨拶する駐英サウジアラビア大使のハーリド・ビン・バンダル王子。(提供)
Short Url:
10 Jun 2023 01:06:41 GMT9
10 Jun 2023 01:06:41 GMT9

ガブリエレ・マルヴィジ

ロンドン:今週ロンドンで、英国・サウジアラビアの代表団が、サウジアラビアの「ビジョン2030」構想の進捗を確認し、新たな協力の道を探るべく会合を開き、両国の経済・貿易関係はさらに強固なものとなった。

サウジ・英国合同ビジネス協議会とサウジアラビア国立競争力センターが主催する「英サウジ・ビジネス・貿易・パートナーシップフォーラム」がロンドン市中心部の邸宅で開催され、両国の政府関係者やビジネスリーダー、専門家が参加した。

サウジアラビア・英国合同ビジネス協議会の共同議長であるEmad Al-Thukair氏は、これまでの成果を認める一方で、両国のパートナーシップは「まだまだほんの一部」であると強調した。

Al-Thukair氏はアラブニュースに対し「チャンスは非常に大きいです」と語り、次のように付け加えた。「一方では、英国はより多くの市場を求め、サウジアラビアは技術や機会を渇望し、豊かな知識の伝達を発展させています」

「その一方で、英国の現在の経済状況は、サウジアラビアのファンドが注目する豊富な機会を示しています」

Al-Thukair氏は、サウジアラビアと英国の双方で機会が増えていることから、214億ドルという貿易額の数字は今後2~3年で大きく増大するだろうとの楽観的な見方を示した。

2022年、両国間で取引された貿易額は前年比68%の急増で、英国のサウジアラビアへの輸出額は151億7,000万ドルに上り、英国のサウジアラビアからの輸入額は63億9,000万ドルに上った。

今回のイベントでは、投資機会や貿易協定、さらには金融、クリーンエネルギー、教育、ヘルスケア、クリエイティブ産業など、さまざまな分野での民間協力について話し合われた。

英国エネルギー安全保障・ネットゼロ相のグラント・シャップス氏。(提供)

ドミニク・ジョンソン投資担当閣外大臣はアラブニュースに対し、英国・サウジアラビアのビジネス関係について、特に資産運用や金融サービス分野での機会に焦点を当て、明るい展望を語った。

英国はサウジアラビアに投資に関する多様な専門知識をもたらし、広範な株式投資から未公開株式やベンチャーキャピタルといった専門分野へのサウジアラビアの進出を支援することができると、元実業家であるジョンソン氏は主張した。

「強力な連鎖反応をもたらすため、私は常に自分のチームをこの地域に置くよう努めています」とジョンソン氏は語った。

また同氏は、「これは、広範な株式投資から、未公開株式やベンチャーキャピタルなど、より専門的で流動性の低い資産への移行に不可欠な、さまざまな投資タイプの知識を持つ人物を呼び込むもので、これらすべてが経済の活性化につながる」とも述べた。

ジョンソン氏は、サウジアラビアの経済成長において英国が中心的な役割を果たしているとの認識を示す一方で、サウジアラビアの投資が英国全体、特にイングランド北東部にさらに広がることを望んでいると表明した。

英国のニール・クロンプトン駐サウジアラビア大使は、開会の挨拶で同様の感想を次のように語った。「私はこうした新しい開発促進地域で人と人とのつながりを見届けることに大きな喜びを感じます」

同大使は次のように続けた。「サウジアラビア基礎産業公社(SABIC)が大英帝国化学工業(ICI)に多額の投資をし、アルファナー社がクリーンエネルギー燃料のためにティーズサイドに資金を投入し、そして、16カ月前には苦戦していたニューカッスル・ユナイテッドが今年は何とかチャンピオンズリーグの出場権を確保することができました」

「サンダーランドのサポーターの私にとっては相当の痛手ですが、以前、ある人が『あれからニューカッスル・ユナイテッドの投下資本が2倍になった』と誇らしげに言っていました」

昨年、サウジアラビアのグループ会社アルファナー社が10億ドルを投じて、廃棄物から持続可能な航空燃料を大規模に生産する英国初の企業ライトハウス・グリーン・フューエルズ・エナジー社を立ち上げ、イングランド北部のポート・クラランスの拠点に240人の雇用を創出した。

2021年、サウジアラビアの石油化学大手であるSABICは、イギリス北東部のティーズサイドにある自社施設に、脱炭素化を目標として13億7,000万ドルを投資すると発表した。

サウジアラビア・英国合同ビジネス協議会の共同議長であるEmad Al-Thukair氏の登壇の様子。(提供)

また、今回のイベントでは、参加者たちが「ビジョン2030」構想の下で果たされた成果を振り返り、称え合う機会も設けられた。

2016年にムハンマド・ビン・サルマン皇太子によって立ち上げられた「ビジョン2030」は現在、スケジュールの折り返し地点にあり、サウジアラビア経済の活性化と健康、観光、インフラ、教育などの主要部門の強化に向けて進められている。

サウジアラビアの商業大臣であるマージド・アル・カサビー氏は、今回のフォーラムで「現在のサウジアラビアは異なるサウジアラビアだ」と宣言し、サウジアラビアの開発・変革の課題に向けて急速に進歩していることを強調した。

アル・カサビー商業相は、この取り組みの成功について、サウジアラビアの指導者の功績を称え、次のように語った。「戦略ではなく、鍵となる成功要因である実行力が重要なのです」

同氏は次のように続けた。「私たちはなぜここまで成功できたのでしょうか?リーダーシップを発揮したからです。変化は下から来るものではなく、上から来るものであります。船の舵取りは誰でもできますが、航路を方向づけるのは船長です」

また、フォーラムでは、民間企業のさらなる参加も重要なテーマの一つとなった。

アル・カサビー商業相は、政府間関係は依然として強く、盛んなビジネスエコシステムを育み続けているが、民間部門の参加がますます不可欠になっていると強調した。

サウジアラビア政府は、外国の民間企業の参入を容易にするため、サウジアラビア・ビジネス・センターを設置し、同国での起業を検討する企業に行政面での支援をワンストップで提供するなど、さまざまな取り組みを導入している。

アル・カサビー商業相は、潜在的な投資家層にサウジアラビアを訪れるよう推奨し、自身の興味に合った機会を探る上で、適切な人物、政府関係者、または民間企業の代表者とつながりが持てることを保証した。「百聞は一見にしかずだからです」と同氏は続けた。

サウジアラビア代表団と英国代表団は、多くの機会を実際に把握する上で、サウジアラビアを訪問することの重要性を強調した。

駐英サウジアラビア大使のハーリド・ビン・バンダル王子は、数名の登壇者の一人として、まだリヤドを訪問していない英国のビジネスパーソンに訪問を呼びかけた。

「確かに、私の生涯で、現在サウジアラビアで起きているような出来事を見たことはありませんでした」とハーリド・ビン・バンダル王子は語り、次のように続けた。「この7年間、サウジアラビアで私たちが成し遂げたことは、革命的な出来事です」

「行くしかないのです。毎日航空便が出ています。それに乗って、ご自身の目で確かめに来てください」

「素晴らしい出来事が起きているのです。驚くべきことです。ワクワクします。この国のエネルギーは、月に向かうロケットの動力源になり得るのです」

このフォーラムは、サウジアラビアと英国が今後さらに実りある協力関係を築くための道しるべとなることが期待され、両国が大成功した事例として称えられた。

サウジアラビア・英国合同ビジネス協議会のクリス・インズ・ホプキンスCEOは、アラブニュースのインタビューに応じ、参加者がサウジアラビアの「ビジョン2030」に関して議論し合い、成果を祝い、新しい可能性を探るために集まった会場の印象を高く評価した。

インズ・ホプキンス氏は、クリーンテクノロジーやヘルステックなどの新興分野に特化したネットワーク主導型のイベント開催を通じて、サウジアラビアと英国間の連携を促進する同協議会の力量を強調した。

さらに同氏は、サウジアラビアで成功を収めたフィンテック企業であるリーン・テクノロジーズの例を挙げ、サウジアラビアで人気を博しただけでなく、人材プールを活用し、中東市場への玄関口としてロンドンに支社を設立したことを紹介し、サウジアラビアと英国の関係が相互に有益であることを強調した。

同氏は、会場にいる多くの中小企業の存在を認め、中小企業がつながりを築き、話を進める上で重要な役割を担っているとの認識を示し、誇らしげに語った。

「やはり、これこそが協議会のすべてなのです。私たちは単なる商工会議所ではなく、明るい未来のためにつながり、刺激し合い、協力する力強いビジネスネットワークなのです」とインズ・ホプキンス氏は締めくくった。

特に人気
オススメ

return to top