
日産は13日、10年以上ぶりに四半期決算の赤字を発表しそうだ。日産に近い筋が語った。原因は販売の落ち込みで、加えて、カルロス・ゴーン元会長追放後の会社再建の取り組みにも重圧がかかるとした。
日産の直面している困難が利益の落ち込みを物語る。CEOと会長を務めたゴーン氏の主導した事業拡張戦略の多くを緩和するため、日産は従業員数や生産拠点、製品提供を削減して現金を節約、着実な復活を図ろうとしている。
売上の落ち込みに加え、中国でコロナウイルスが発生し製造にも待ったがかかった状態となっており、さらなる利益の落ち込みにつながりそうだ。
日本第2の自動車メーカーである日産の幹部3人はロイターの取材に対し、13日の発表はかんばしくないものとの見込みを語った。うち1人は「惨憺たる」数字だとした。
幹部2人は、2009年1~3月期以来の四半期決算赤字となりかねない営業赤字が出る可能性があるとしている。
日産は、正式に発表する以前に決算についてコメントはできないとしている。
1月に予想を修正した3人のアナリストにSmartEstimateが調査したところによると、日産の10~12月期の営業利益は486億円(4億4,250万ドル)となるもようで、前年同期の1,030億円の半分以下となる見込み。
が、ロイターの見積もるところ、これら見通しは12月の自動車販売台数が1月30日に出る前の数字。このときには、第3四半期の売上は前年同期比11%の落ち込みとなっていた。
2年前から売上高が低下するなか、四半期の落ち込みとしてはこれは最大の数字となっている。
日本で活動する自動車株のアナリストはこうした売上減少を受け以前の予想を引っ込め、日産は赤字を出す可能性もあるとしている。
同アナリストは最新の見込みが反映されていないとして匿名を条件に、「黒字になるか赤字になるかの問題でしょう。当期については赤字の可能性がある」と語った。
日産幹部3人のうち1人は、通期収益の見通しは1,500億円から切り下げざるをえないおそれがあり、そうなると11年ぶりの低い数字となると語った。日産は当初2,300億円の通期収益予想を出していたがこれを修正し、11月に1,500億円としていた。
日産の世界市場での売上は、4月の会計年度開始時点より、前年同期から8.3%の落ち込みとなっていた。日産は、米市場で多年にわたり大幅値下げを敢行、企業イメージが低下し、同市場で最も売れている3車種のうちの2車種であるクロスオーバーSUVのRogueとセダンSentraの販売にも苦しんでいた。
本会計年度の当初9か月間で日産は381万台の車両を売り上げている。
中国での製造がさらに中断に追い込まれるなか、日産は前年実績の5%減となる通期目標524万台も達成できないおそれがある。
ロイター