
野球のスター、大谷翔平選手の元通訳、水原一平容疑者が、ロサンゼルス・ドジャースの同選手から、違法なスポーツ賭博の借金を返済するため。多額の現金を盗んだとして、銀行詐欺で訴追されたと、アメリカ当局が木曜に記者会見で発表した。
E・マーティン・エストラーダ連邦検事によると、水原一平容疑者が開設を手伝った大谷選手の口座から、1600万ドル以上(約24億8000万円)を盗み、違法なスポーツ賭博を行った罪に問われている。
今シーズン、7億ドルという史上最高額の10年契約でドジャースに移籍した大谷選手は、3月25日の記者会見で、同選手は水原容疑者による窃盗の被害者であり、野球賭博をしたこともなければ、故意にブックメーカーに送金したこともないと語った。
エストラーダ検事によれば、連邦捜査当局は、水原容疑者が野球賭博をしたと示唆する証拠を発見していないという。司法省は、大谷選手を容疑者の詐欺容疑の被害者とみなしており、また大谷選手は容疑者を告発していないという。
水原容疑者は、近いうちにロサンゼルスのダウンタウンにある連邦地方裁判所に出廷する予定である。銀行詐欺の法定刑は最高、連邦刑務所で禁錮30年である。
水原容疑者の弁護士、マイケル・フリードマン氏は木曜、ロイターの取材に対し、依頼人はこの容疑についてノーコメントであると述べた。
木曜に銀行詐欺容疑とともに提出された宣誓供述書によると、容疑者は2021年後半から違法なスポーツ賭博でギャンブルを始め、多額の損失を出していた。
容疑者は大谷選手に何度もなりすまし、銀行員を「騙して欺き」、大谷選手の年俸が振り込まれる口座からの送金を承認させたと供述している。
宣誓供述書によれば、3月20日頃、水原容疑者が大谷選手から盗んだという報道について、ブックメーカー連絡をした際、容疑者は「本当のことを言うと、確かに盗みました。もう全部おしまいだ」と返信したという。
木曜の記者会見で、エストラーダ連邦検事は、容疑者は「大谷選手の銀行口座から現金を盗難するために、その独特の信頼された立場を 『利用し、悪用』しました」と述べた。
容疑者は、大谷選手と日本ハム時代の2013年に知り合い、大谷選手がロサンゼルス・エンゼルスに在籍していた6シーズンの間、常に大谷選手と行動を共にしていた人物だが、3月にドジャースから解雇された。
その数日後、大谷選手は3月25日の記者会見で、水原容疑者が大谷選手の口座を使って借金の返済をしたと認めたと話し、裏切られたことに「悲しみとショックを受けている」と語った。
エストラーダ検事は木曜の記者会見で、日本語の専門家が大谷選手と水原容疑者との何千ものやりとりを調査した結果、2人の間に賭博やブックメーカーへの送金の承認に関する話し合いはなかったと述べた。
水原容疑者への捜査は、米国内国歳入庁と国土安全保障省による、南カリフォルニア全域での違法なスポーツ賭博事業への継続的で広範な調査から発展したものである、とエストラーダ検事は述べた。
ロイター