




アブダビ: 時計の針が刻々と進む中、タレク・ハムディ選手にオリンピック空手競技での金メダルが近づいていた。東京大会の男子組手75kg級決勝戦の残り数秒、サウジアラビアのファイターは、イランの対戦相手サジャド・ガンジザデ選手に対して難攻不落のリードを保っていた。
王国にとってオリンピックでの歴史的な初金メダルは、もはや形式的なものでしかなかった。しかし、反則の頭部への蹴りでガンジザデ選手を転倒させたと判定されペナルティを受けたハムディ選手、金メダル獲得はならなかった。失意の同選手は、銀メダルに甘んじた。当時22歳だったハムディ選手は帰国後、大歓迎を受け、その活躍は、サウジアラビアのアスリートたちに、新たな旗印を打ち立てた。
また、他の選手たちも素晴らしいパフォーマンスを見せた。ボート競技のフセイン・アリレザ選手は、大会の数週間前に肋骨を負傷したにもかかわらず勇敢に健闘し、東京の開会式で旗手を務めた100m走のヤスミーン・アル・ダバーグ選手は、2012年ロンドン大会のサラ・アッタール選手に続き、陸上競技に出場した史上2人目のサウジアラビア人女性となった。サード・アル=シェフリ監督率いるサウジアラビアのU-23サッカー代表は、東京で行われた非常に厳しいグループリーグの3試合すべてで好成績を収めたが、最終的にはカメルーンに2-1、ドイツに3-2、そして金メダル獲得のブラジルに3-1で敗れた。
今回のサウジアラビア代表団は、23人のサッカー選手がパリ大会への出場権を逃したため、大幅に減少した。しかし、4競技に参加する10選手は、ハムディ選手の記録と同じように、あるいはそれを上回ることを目標としている。
サウジアラビアの障害馬術チームは、ラムジー・アル・ドハミ選手、アブドゥラ・アル・シャルバトリー選手、ハレド・アル・モブティ選手、アブドゥルラフマン・アル・ラジ選手で構成され、8月1日から6日の間に、まず個人戦で、そして4人組で団体戦に出場する。52歳のドハミ選手と41歳のシャルバトリー選手は、カマル・バハムダン選手、アブドゥッラー・アール・サウード王子とともに、2012年ロンドン五輪の馬術団体戦で銅メダルを獲得している。今回で、ドハミ選手は6度目のオリンピック出場を果たす。
また、女子200m自由形では、サウジアラビア初の女子オリンピックスイマーである17歳のマシャエル・アル=アイド選手が、男子100m自由形では、サウジアラビア選手団の最年少メンバーである16歳のザイード・アル・サラージ選手が、それぞれメダル獲得を目指す。
• شكرًا للقيادة على دعمها للمرأة السعودية 🧕🏻
— اللجنة الأولمبية والبارالمبية السعودية 🇸🇦 (@saudiolympic) July 27, 2024
• فخورة بتمثيل السعودية 🇸🇦
• بعمر 9 سنوات شاركت بأول بطولة 🏊♀
📹| حديث السباحة الواعدة صاحبة الـ17 عام 'مشاعل العايد' قبل المشاركة في دورة الألعاب الأولمبية #باريس2024 🏅#حنا_معكم pic.twitter.com/R3EGnDSaiH
陸上競技では、ヒバ・モハメド選手が8月2日の女子100m予選でサウジ代表のスタートを切る。同じ日に行われる男子棒高跳びでは、26歳のフセイン・アル・ヒザム選手が記録更新を狙う。「僕はまだ自分のポテンシャルをフルに発揮できていないと確信しているし、パリですべての努力が結実し、みんなに衝撃を与えることができると信じています」とヒザㇺ選手は、パリ出発前、ドイツでのトレーニングキャンプでアラブニュースに語った。
一方、20.66mから21.80mへとアジア記録を更新し、砲丸投げ競技への出場権を獲得したモハメド・トロ選手は、南京で開催された2014年ユースオリンピックでの4位入賞より、少しでも上の成績を狙う。
最後に、ドゥニャ・アブタレブ選手は、サウジアラビアの女子選手として初めて正式に出場権を獲得し、テコンドー競技で国の希望を担う。これまで、ヤスミーン・アル・ダバーグ選手やタハニ・アル・カタハニ選手(柔道、東京2020)らは特別出場枠を獲得していた。
その他にも、アラブの選手やチームのさらなる活躍が期待される。
金曜日の公式セレモニーの2日前にキックオフされたサッカー競技では、アラブの3チームが素晴らしい結果を残した。モロッコはグループBでアルゼンチンを2-1で下し、イラクは同グループでウクライナを2-1で下した。エジプトはドミニカ共和国と0-0の引き分けに終わったが、悲観することはないだろう。
チュニジアは、東京大会の男子400m自由形で金メダルを獲得した10代のスイマー、アハメド・ハフナウイ選手が再び戻ってきたが、残念なことに、この国のテニス界のスーパースター、オンス・ジャバー選手がパリ大会の出場を辞退した。
そして、北アフリカのスター選手たちは、再び栄光への大きな望みを抱くことになる。アルジェリア人ランナーのジャメル・セジャティ選手は、今大会に向けて見事な走りを見せ、金メダルを狙っている。また、その後を追うラムジ・ブーヒアム選手は、800メートルでデビッド・ルディシャ選手が持つ12年前の世界記録を破る可能性が出てきた。
モロッコ人およびアラブ人サーファーとして、初めてワールドサーフリーグのチャンピオンシップツアーの出場権を獲得したラムジ・ブーヒアム選手は、2大会連続でオリンピックに参加する。また、同胞のファティマ・エザフラ・ガルダディ選手は、8月11日のマラソンで表彰台を目指す。
一方、17歳のアルジェリアの天才体操選手ケイリア・ネムールは、ここ数年、国際大会で何度も表彰台に上がっており、メダル獲得に期待がかかる。
アラブ人アスリートの中で最も注目されているのは、カタールのムタズ・バルシム選手だろう。この選手は、東京大会の走り高跳びで、ライバルであり友人でもあるイタリアのジャンマルコ・タンベリ選手と同記録で金メダルを受賞し、ユニークな祝福シーンを繰り広げた。2012年のロンドンと2016年のリオで2つの銀メダルを獲得したバルシム選手は、アラブ地域有数のスポーツマンとしてパリ大会に出場する。
最後に、ガザ戦争の恐怖を背負いながらパリ大会に参加する10人のパレスチナ代表団に多くの注目が集まるだろう。
「自分のためだけでなく、パレスチナ全体のためにオリンピックに行きます。世界にパレスチナの尊厳を示すため、そして我々のアイデンティティを守るために戦います」と、57kg級に出場する20歳のボクサー、ワシーム・アブ・サル選手は、先日アラブニュースに語った。
北アフリカ、中東、そして湾岸諸国と、2024年パリ大会に出場するアラブ人選手たちは、このような思いを共有することになるだろう。